“その人らしさ”を支える特養でのケア
第99回
集合研修のメリットについて考える
前号では、研修の受講について私の考え方をお話しました。前号の内容はどちらかというと、オンラインでの研修受講に焦点をあてましたが、今号では、集合研修についてお話したいと思います。
集合研修が優れている3つのポイント
コロナ揚を機に機会が減っていた集合研修ですが、最近は徐々に増えてきましたね。しかし、前号でもお話したとおり、会場に行くまでの時間や経費を考えると参加を躊躇してしまうようなこともあるかもしれません。
私事ですが、2025年末に毎年参加している日本メディカルダイエティシャン研修会(以下、JMDS)があり、大阪まで行ってきました。私にとってJMDSは、前号の最後に書いた「会いたい人に会いに行く研修」の一つです。
一泊二日の弾丸ツアーでしたが、大変充実した時間を過ごすことができました。
JMDSで経験したことを紹介しながら、私見ですが、集合研修のメリットを紹介したいと思います。
①仲間づくり
仕事のことを相談する相手が欲しいと思ったことはありませんか?福祉施設の栄養士はまだまだ1~2人配置が多く、「他の施設ではどうしているんだろうか」とか「自分がやりたいことと同じ考えの人が近くにいない」などと感じたことはありませんか。
研修は、同じ目的の人が集まりやすいので仲間をつくるチャンスです。
集合研修とオンライン研修の一番の違いは「余白で交流できる」ということ。オンライン研修でもチャット機能を使えば個人的にやり取りできるのかもしれませんが、参加者同士が自由に交流できるのは、集合研修の大きな特徴です。
JMDSは、参加者が自分の日頃の活動等を発表する時間(一般演題)があります。質疑応答の時間が設けられ、活発なディスカッションが行われるのもJMDSの特徴かと思っています。
毎回、気になる発表内容や質疑応答をされた方と後でお話ししようと決めて、休憩時間や懇親会などを利用して情報交換をしています。時には、対応に苦慮している事例について質問させていただくこともあります。
今回のJMDSでも、一般演題で気になる内容を発表されていた方と懇親会の場でゆっくりお話しさせていただく機会がありました。お話しした方は病院の栄養士さんでしたが、連携を行うためにどうすればよいか、情報交換させていただきました。
講演が始まる前や休憩中、そして研修後など、オンラインでは自分ひとりで過ごすことが多いと思いますが、集合研修では、近くにどなたかがいらっしゃる状況です。
見知らぬ方にいきなり話しかけるのは大変勇気がいりますが、何か「小さなきっかけ」をみつけて話しかけてみると、良い出会いにつながる場合があります。
連絡先を交換すれば、何かの時に相談することも可能。そこからまた、ネットワークが広がっていきます。
②「学び」や「仕事」のモチベーションが高まる
一緒に勉強する人がいると「自分も頑張ろう!」という気になりませんか?自分が参加した研修に同じ目的を持って集まった仲間がいる――と思うだけで心強く感じます。
JMDSは以前から熱意が高い参加者が多く、1回の研修会参加で1年分のパワーをいただける会です。①の仲間づくりにも通じますが「全国でみんな頑張っているから、それに恥じないように自分も頑張ろう」という思いが湧くのです。
そして、これはここだけの話ですが、自分が講師としてお話しする時、オンラインより集合研修のほうがより良いお話ができる気がします。それは、会場の方の反応がわかるからです。
ご参加の皆さんが共感・理解してくださるのがわかると、自然と内容が濃くなっているように感じます。もちろん、オンラインでも必要なことをお話ししていますが、自分のパソコンに向かって話すだけなので「少し味気ないなぁ」「事務的かなぁ」と思っています。
③講師の先生にテーマ以外のことも聞ける
前回紹介した研修の分類で「講師が魅力的で参加する研修」があると紹介しました。このパターンで集合研修に参加した場合、その研修のテーマ以外のことを講師の先生にお聞きすることがあります。研修会のテーマに沿った内容であれば講演後の質疑応答で聞くことも可能ですが、テーマ外だと聞きにくいですよね。そんな時は、終演後、質問するために突撃です。「図々しいかな」と思っていますが、意外と、どの先生も気さくにお答えくださって、ありがたく質問させていただいています。
以上が私の考える集合研修のメリットです。
オンライン研修に比べて手間の多い集合研修ですが、その分、得られるメリットは大きく、その後の仕事にも大きな影響を与える場合があります。オンライン研修とうまく組み合わせて活用できるといいですね。
今回年末に参加したJMDSで、私も久しぶりに一般演題で発表させていただきました。施設内で行った看取りケアの事例発表です。病院とは視点が違う特養の栄養ケアについてどのような反応があるか不安でしたが、おおむね肯定的に受け入れていただけたと感じています。
しかし、今後の連携等を考えると、医療機関と評価方法をある程度統一する必要があると感じました。評価方法が共通になることで、事例についてのディスカッションを行う時に状況を同じようにイメージできるからです。「自分の仕事が間違ってない」と安心する一方で課題にも気づくことができ、よい経験となりました。
「会いたい人に会いに行く研修」に参加して、今回も多くの方と再会を果たし、また多くの刺激をいただきました。「同じ志を持って頑張る仲間がいるということは幸せなことだな」と感じた2日間でした。「いつも行く研修の、いつものメンバー」が自分に大きな影響とバワーを与えてくれることは仕事のモチベーションにもつながります。ぜひ、皆さんにも経験してほしいです。
そのためにも、集合研修をうまく活用してください。(『ヘルスケア・レストラン』2026年3月号)
特別養護老人ホーム ブナの里
よこやま・なつよ
1999年、北里大学保健衛生専門学校臨床栄養科を卒業。その後、長野市民病院臨床栄養研修生として宮澤靖先生に師事。2000年、JA茨城厚生連茨城西南医療センター病院に入職。同院の栄養サポートチームの設立と同時にチームへ参画。管理栄養士免許取得。08年、JA茨城厚生連茨城西南医療センター病院を退職し、社会福祉法人妙心福祉会特別養護老人ホームブナの里開設準備室へ入職。09年、社会福祉法人妙心福祉会特別養護老人ホームブナの里へ入職し、現在に至る

