食べることの希望をつなごう
第76回
今年のスキルアップセミナーへの期待と
昨年のセミナー内容の振り返り

6年間、毎年夏に開催されてきた大妻女子大学でのスキルアップセミナーは、昨年度のテーマ「結」をもっていったん区切りとなりました。今年はどうなるのだろうと思っていたところ、「甦」をテーマに開催予定とのこと。今回も何かしらのかたちでかかわることができそうなので、紹介します。

学びの夏が今年もやってくる

大妻女子大学の管理栄養士スキルアップセンターは、地域における栄養ケアや在宅傷病者・高齢者への訪問栄養指導ができる管理栄養士の実践的応用力の育成機能を果たす役割を有するとともに、潜在有資格者の管理栄養士の育成および情報の発信機能をもち、さらに、栄養問題にかかわる研究の推進とその成果を社会に還元することを目的として設立されました。

栄養ケアプロセスと実践力を身に付け、在宅訪問のチーム医療に参加できる管理栄養士、また、地域のリーダーとなる管理栄養士の育成をめざし、管理栄養士・栄養士の同職種、多職種、病院と地域、医療と介護、予防と医療が連携することを目標に、管理栄養士のスキルの向上とマインドを高めてきた6年間。講師の先生方は医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、ヨガ講師など多領域から構成され、ほかに類を見ないセミナーだと感じていました。

そんな同セミナーですが、昨年度でいったん区切りを迎えました。開講当初からかかわってきた一人として「今年はどうなるのだろう」と思っていたところ、昨年度までセンター長を務めていた川口美喜子教授が、今年度からはスーパーバイザーとしてご担当されるとのこと。
8月15～19日の5日間の日程で「甦」をテーマに開催予定だそうです。毎年、川口教授は明るくとてもパワフルにセミナーを開催してこられたので、今年も、例年のようにわくわくするようなカリキュラムだろうと今から胸を躍らせています。

昨年度のセミナー内容をおさらい

例年、スキルアップセミナーはベーシックとエキスパートの2つのコースで構成されていました。参加者も、実際に管理栄養士として活動されている方や復職予定の方、在宅訪問管理栄養士をめざす方、管理栄養士をめざす学生など多岐にわたり受け入れていました。なかには、歯科衛生士や歯科医師など、管理栄養士以外の職種の参加もありました。
昨年度は、モーニングセッションやランチョンセミナー、イブニングセミナーがあったり、調理実習、ワークショップがあったりと、座学だけでなく実習もたくさん組み込まれた盛りだくさんの5日間となっていました。
また、修了生が講師を担当することもあり、実際にセミナーを受講した修了生の方々が現場で活躍していく、管理栄養士が育っていく過程を間近で見ていて、セミナーの実施にかかわる側としても大きな刺激を受ける機会にもなりました。そして、人とのつながりができるのも、このセミナーの大きな魅力でした。

5日間と長期間の、なかなかほかにはないセミナーであり、受講者も適度な人数のため講師との距離も近いものでした。さらに、懇親会もあるため、日本全国(過去には海外から受講された方もいらっしゃいました)から集まった多職種の方々と情報交換できる機会もありました。

同じ管理栄養士でも、医療、学校健康教育、勤労者支援、研究教育、公衆衛生、地域活動、福祉など職域はさまざまです。私は医療の領城で働いていますが、同じ病院という括りでも一般病院、精神科病院、特定機能病院などがあるうえ、病棟も一般病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟などそれぞれ異なる役割をもっています。さまざまな職域で働いているからこそ、それぞれの専門性や業務内容を理解することがお互いの尊重につながり、スムーズな同職種連携が実現すると思います。

新たなフィールドへの後押し

ライフスタイルの変化が働き方に大きな影響を与えることがあります。その変化によって、いったん退職を選択する管理栄養士は少なくないですし、現在と違う分野での転職を考えている場合もあるでしょう。
そういった退職後のブランクや別領域での業務内容を考慮すると、復職や転職のハードルが高いことは容易に想像されます。しかし、そのような方たちにとっても、このセミナーへの参加は大変いい機会だと思います。

今年度の開催は予定されていますが、カリキュラムの詳細については未定です(6月5日現在)。表1は昨年度実施のカリキュラムですが、ぜひ参考にしてみてください。なお、今年の詳細が決まりましたら、ホームページで告知されるとのことです。ご興味がありましたら、ぜひ参加をご検討ください。（『ヘルスケア・レストラン』2024年7月号）

表1　2023年度開催のカリキュラム内容(ベーシック)

*https://www.home.otsuma.ac.jp/food/skillup/index.html