食べることの希望をつなごう
第65回
摂食嚥下リハビリテーション栄養
専門管理栄養士専門研修に参加して

各団体が認定する資格は数多くあります。それらに関連する研修も各所で行われていますが、皆さんは参加したことはありますか?今号では、「摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士」の専門研修の内容を一部紹介します。

専門分野別認定制度の申請資格

先日、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士の専門研修に参加しました。公益社団法人日本栄養士会には、専門性を身に付けたい管理栄養士へ時代のニーズに応えるスペシャリストを認定する「専門分野別認定制度」という制度があります。摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士は、摂食嚥下リハビリテーションの基本的知識と栄養管理に関する技能を修得し、医療機関や介護(福祉)施設とともに在宅においても、摂食嚥下障害をもつ患者や家族に対し栄養管理と専門的な食・栄養支援を行うことでQOL向上に貢献できる管理栄養士であり、日本栄養士会と一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会とが共同で認定しています。2023年4月1日時点で73名が認定されており、認定者名簿は日本栄養士会のホームページに掲載されています。

認定に必要な申請資格として提示されているのは、①管理栄養士免許を有し、管理栄養士として優れた人格と見識を備えていること、②日本栄養士会および日本摂食嚥下リハビリテーション学会の会員であること、③日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の取得者であること、④以下(1)~(4)の条件を満たしていることです。(1)管理栄養士を取得後5年以上の実務経験を有し、摂食嚥下障害をもつ者(児)にかかわる栄養管理に通算3年以上従事していること、(2)日本栄養士会および日本摂食嚥下リハビリテーション学会が指定する研修を履修していること、(3)摂食嚥下機能に関する実績5症例および実務経験歴を提出すること、(4)摂食嚥下リハビリテーションおよび栄養分野の学術集会・地方会または関連する研究会等において、摂食嚥下に関する筆頭発表、もしくは筆頭論文を過去3年間のうち1篇以上有すること。

調理実習が特徴の専門研修(演習)

冒頭のとおり、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士の専門研修(演習)の、調理実習をはじめとした研修のサポートスタッフとして、研修会に参加しました。
講師の方々は摂食嚥下リハビリテーション関連では知らない人はいない、というくらい著名な先生ばかりで、とても楽しくわかりやすい講義と実習内容でした。摂食嚥下障害患者さんと日々かかわる方にはぜひお勧めしたい研修です。

本研修の特徴の1つは、演習して調理実習がある点だと思います。今回は、提示された症例に対して、栄養ケアプロセスを実施し、献立を立て、実際に調理し、試食・評価を行いました。慣れない調理室で、決められた時間内に、用意された食材を使って、日本摂取嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021に沿った食形態に調整していくのは、ただただ大変!の一言に尽きますが、皆さんはそれぞれ工夫して調理されていました。食材の選び方や組み合わせもそれぞれ違い、使用するとろみ調整食品やゲル化剤、酵素など、嚥下調整食用のテクスチャー改良剤によっても物性が変わることを実際に体験できる、とても学びの多い実習だったのではないかと思います。

時間の制約があったことも大きかったようで、同じ献立を調理しても各グループで出来上がりが違ったり、狙った学会分類のコードに調整できなかったりと、改めて嚥下調整食の難しさを感じました。また、提示された症例に対して、適した食形態であることだけでなく、病態や既往歴、必要な栄養量、調理技術や経済的状況などの患者さんの生活背景についても考慮が必要です。
私は受講生ではなくサポートする立場での参加でしたが、日常業務の栄養相談で行っていることを深堀りし、「口頭での指導」だけでなく「実際の生活に合った料理」に落とし込むということが、自分のなかで不足していることを改めて認識できた、とても良い機会となりました。また、普段から業務で調理にかかわっている方ばかりではなく、そうでない方も多種多様に参加されるので調理の工夫や使うアイテムの違いも大変興味深く拝見させていただきました。

オンラインでは得られない対面研修のメリット

これまでの研修会にもたびたび参加していましたが、特に今回の研修は「楽しい」と感じられ、大変印象的でした。受講者が少なかったこともありますが、緊張感があるなかで、研修中も随所に受講者の笑顔が見られ、終始和やかな雰囲気で大変楽しい研修でした。
講師の先生方との距離が近く、オンラインとは違った対面での研修はこの誌面では表現しきれないほどとてもわくわくする楽しいものでした。繰り返しになりますが、調理実習は普段業務で調理にかかわることの少ない方には、特にお勧めです。調理技術の見直しというだけではなく、患者さんに対するかかわり方の振り返りにもなると思います。

補足ですが、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士は5年ごとに認定の更新が必要であるため、資格取得後も継続して学んでいくことになります。研究業績および研修業績等の必要な単位数を取得しなければならないため、論文発表や症例報告、学会・研究会発表などの研究や、更新セミナーの受講、60分以上の講師などの研修参加をしていく必要があります。
摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士の資格取得者は、メーリングリストを通じて情報交換・共有しており、これも資格取得のメリットの1つと考えます。摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士にご興味ある方、ぜひ資格取得をめざしていただき、職域を越えてともに活動していけたらと思います。(『ヘルスケア・レストラン』2023年8月号)

豊島瑞枝(東京医科歯科大学歯学部附属病院 管理栄養士)
とよしま・みずえ●大妻女子大学卒業。東京医科歯科大学医学部附属病院に入職後、2010年より東京医科歯科大学歯学部附属病院勤務となる。摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士、NST専門療法士

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