“その人らしさ”を支える特養でのケア
第43回
令和3年度介護報酬改定から考える
栄養ケアのあり方と管理栄養士の役割

令和3年度介護報酬改定によって、当施設では栄養ケアの内容や多職種連携について対応や体制を見直す機会が生まれ、ご利用者へのサービスがより充実したように思います。皆さんの職場にも何らかの変化があったのではないでしょうか?

新制度によって示された栄養ケアの重要性

介護報酬が改定され、3ヵ月が経ちました。すでに新制度で加算取得を行っている方、今後のために準備されている方、それぞれで動きがあると思います。

特養を含む介護施設においては、栄養マネジメント加算が廃止され、栄養ケア・マネジメントが基本サービスに含まれることとなりました。栄養管理の計画的な実施は“やって当たり前”のサービスとなったのです。さらに、管理栄士がさまざまな施設ケアにかかわることが明文化されたことで、参加すべき会議などが増えているのではないでしょうか。

2021(令和3)年3月16日付けで出された厚生労働省の通知には、栄養ケア・マネジメントの詳細が提示され、個人的にはこれまでの自分の仕事を見直すよい機会となっています。
仕事を見直す一方で、今までやってきたことが「これでよかったのか?」と思うことも増えました。また、仕事のサイクルを見直し、業務のスリム化が必要だと感じるようになってきました。

業務の見直しによってケアプランの充実を実現

ここだけの話、私はずっと「モニタリング」が苦手でした。栄養ケアプランに沿ったサービスに問題がないかを評価検討するのがモニタリングですが、これまではプラン以上の改善を求める気持ちがあり、心の底ではモニタリングの判断基準が栄養ケアプランではなかったように思います。ですので、プランに沿って問題がない状態であっても「問題なし」とすることに疑問をもっていました。そして、モニタリングだけはいつも追われるようにやっていて、落ち着いて評価できないことも苦手とする一因になっていたと思います。

モヤモヤした気持ちを抱えたまま、ある日、思い切ってケアマネジャーに「モニタリングって何?」と聞いてみました。“今さら何言ってんの?”というような怪訝な顔をされながら「今までどうしてたの?」と質問し返されました。「プランに対してどうかを評価していた」と話すと、ホッとした表情で「それで問題ない」との返事がきました。そして「いつもユニットで「食事に問題ないか」って聞いて対応しているのだから、それがモニタリングでしょ。その都度、記録してないかもしれないけど、こまめにやっているでしょ」と言われ、霧が晴れたような気分になりました。

たとえば、低栄養リスクが高い方にはモニタリングをおおむね2週間に1度の頻度で行っていますが、実際の業務のなかではさらに短い間隔で現状把握とそれを踏まえた対応の変更を行っています(栄養ケアプランには、ご利用者個々の状態変化に合わせて食形態提供内容をその都度変更することが明示されています)。当施設では、どの職種も介護記録に対応の記録を残すことになっているのですが、それを栄養ケアの記録に展開すればいいのか……と気がつきました。

また、前任のケアマネジャーとは、毎月月末の5日間を『モニタリング期間』と決め、低栄養リスクが低レベルの方であっても毎月モニタリングを行っていました。その習慣から、その期間内に終わらせなければならない、と時間に追われるような気持ちになっていたことにも気がつきました。改めて、厚生労働省の通知を確認すると、モニタリングの期間は低リスクの場合は「おおむね3ヶ月」、高リスクの場合は「2週間毎等適宜」とされており、少し柔軟な対応に切り替えたことで、気持ちに余裕をもって評価ができるようになりました。

モニタリングの時期については、現任のケアマネジャーとすり合わせをしてお互いの業務に影響がないようにしています。
余裕をもってモニタリングができるようになると、今まで見逃していたご利用者の小さな変化に気がつくようになりました。自分のプランの粗さに落ち込むことも多くなりましたが、そのおかげでケアプランにも変化が起こり、よりご利用者個々人に合った内容での栄養管理が実施できていると感じています。それは、活動量を維持して食欲増進につなげる、口腔内の衛生を保つような取り組みに力を入れる、食事の時間を軸として生活リズムを整える、といった内容です。小さな変更点ではありますが、ご利用者それぞれの特性をモニタリングしたからこそ、できた提案です。こういった小さな積み重ねがQOLを維持・増進するのだと思います。

さらに一歩踏み込んだ栄養ケアを提案したい

令和3年度介護報酬改定で、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的な実施についても盛り込まれました。この3部門で協働することで、よりご利用者へのサービスを充実させることが期待されている、ととらえています。

当施設では、管理栄養士、機能訓練指導員、歯科衛生士が1つの執務室にいるため、日常的に情報共有が行われています。今までも各自のプランに、それぞれの職種とのかかわりを意識した内容が含まれることがしばしばあり、今後はさらに充実すると期待しています。
また、プランに幅が出てくると、サービス担当者会議での検討もより踏み込んだ内容になっていると感じます。サービス担当者会議は、栄養ケアだけのものではありませんが、ケアマネジャーからの働きかけもあり、会議のなかでご利用者の新たな一面を知る機会にもなっていて、これまでのサービス内容を確認するだけの会議ではなく、ご利用者の人となりや想いを共有する場になっており、かつそれがプランの裏付けになっていると感じます。

今回の介護報酬改定は、管理栄養士の環境を大きく変えるきっかけとなるのではないでしょうか。機能訓練指導員や歯科衛生士との協働、看取りケアなどへの参加についても明示されたことから、今まで取り組んでいたことにもさらに一歩踏み込んだ対応ができるといいなと思っているところです。また、改めて自分の栄養ケアを振り返ると、スクリーニングから始まる栄養ケアのプロセスのつながりが悪い部分があったと反省もあり、もう一度振り出しに戻ってやってみよう、という気持ちが芽生えています。(『ヘルスケア・レストラン』2021年7月号)

横山奈津代
特別養護老人ホーム ブナの里
よこやま・なつよ
1999年、北里大学保健衛生専門学校臨床栄養科を卒業。その後、長野市民病院臨床栄養研修生として宮澤靖先生に師事。2000年、JA茨城厚生連茨城西南医療センター病院に入職。同院の栄養サポートチームの設立と同時にチームへ参画。管理栄養士免許取得。08年、JA茨城厚生連茨城西南医療センター病院を退職し、社会福祉法人妙心福祉会特別養護老人ホームブナの里開設準備室へ入職。09年、社会福祉法人妙心福祉会特別養護老人ホームブナの里へ入職し、現在に至る