秋から認定・医療広告開始の基本領域と
いまだ全体像すらつかめないサブスぺ領域の明暗

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誕生前に何とか間に合った基本領域の医療広告

厚生労働省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(座長=尾形裕也・九州大学名誉教授)は7月8日の会合で、厚労省が示した「日本専門医機構の専門医に関する医療広告についての今後の進め方について」を大筋で了承した。
了承された対応案は、以下の通り。

▼日本専門医機構が認定する基本領域の専門医については、本年秋から認定開始となることを踏まえ、同時期より広告可能としてはどうか。また、サブスペシャルティ領域については、詳細な整理を受けてから、その広告のあり方を検討する。

▼歯科領域についても同様に、日本歯科専門医機構が認定する専門医を広告可能としたうえで、サブスペシャルティ領域については、詳細な整理を受けてから、その広告のあり方を検討する。

▼日本専門医機構の設立の趣旨や、国民から見て分かりやすいものとする観点から、同機構が認定する専門医の広告を基本とする。学会等が認定する資格名の広告については、これらの趣旨を踏まえ、当分の間の経過措置と位置付けるとともに、新規の広告の届け出について適切に取り扱う。
また、同一領域の専門性があるものについては、日本専門医機構認定専門医に限って広告する。

基本領域研修は2018年度に開始され、その多くが3年間のプログラム。そのため、この春には多くの専攻医が基本領域研修を修了し、秋には試験を経て基本領域の機構認定専門医が誕生することになる。

ところが、現在専門性広告が可能なのは、学会認定専門医のうち外形基準(厚労省告示)を満たし、厚生労働相に届け出たもののみ。同機構は基準を満たしておらず、このままでは広告できないことから、新専門医の誕生する秋を前に見直しが提案されていた。今回の検討会により、基本領域の新専門医誕生に間に合った形だ。

思惑のズレからサブスぺ領域は「妥協の産物」に

一方で、なかなか体制が定まらないのがサブスペ領域の専門研修の仕組みだ。
基本領域研修を修了すると、多くの医師はサブスペ領域の研修に進むと考えられる。しかし実際には、7月時点でもサブスペ領域の研修が始まっていないどころか、全体像さえ見えていない。何領域となるかさえ決まっていない。

サブスペ領域については、昨年3月、「サブスペシャルティ領域の在り方に関するワーキンググループ報告書」が示された。
以下に示す「基本的な考え方」を踏まえ、同機構で議論が進められることになっている。

▼個別学会単位で認定する仕組みではなく、診療領域単位の認定を原則とし、当該領域に関連する学会が協力して専門医の養成にあたるべき。

▼認定にあたっては、専門的医療を日本全国で国民に提供できるいわゆるプロフェッショナルであることを保証する制度と、専門的な知識や技術を修得しているいわゆるスペシャリストであることを証明する制度を区別した整理が妥当。

▼いわゆるプロフェッショナルが担う領域には、狭い範囲で高い専門性を目指す領域と、広い範囲を対象とした総合的な診療を行えることを目指す領域の2つの異なる方向性の領域が存在するが、基本的には、広い範囲を対象とした総合的な診療を行えるプロフェッショナルが国民に求められていることを重視し、このような医師が増える制度とすべきである。

▼基盤となる専門医1つとサブスペシャルティ領域1つ程度の取得により地域医療の中で十分に幅広い診療が行えるような領域設定とすることが妥当。

▼本報告書は、日本専門医機構が認定する「領域」についての考え方を示すものであり、専門医等の「名称」については、最終的には広告の観点を含め、別の場において再度議論されるものである。

▼政策医療に相当する医療を担う領域で、国として進めていくべき領域については、本来的には、現行の指定医や標榜医のように、日本専門医機構が認定する一般的な専門医とは別の位置づけの検討がなされるべきものである。

▼基本領域との連動研修を行う際は、基本領域の研修が疎かにならないように、症例数や研修体制に一定の要件を設けること等を日本専門医機構は検討し、連動研修の前提条件とすること。

こうした混乱の背景には、関係学会と、医師会や病院団体との間での考え方のズレが潜んでいるのではないか。
というのも、学会側は「医局」の力を伸ばしたいと考える一方、病院団体等は、医師の人材確保のために偏在防止を掲げる。同機構の理事会は、両者のせめぎあいの場になっているように見える。
今の状況をみる限り、サブスペの仕組みは、「妥協の産物」とならざるを得ないだろう。(文/ヘルスケア・マネジメント.com)