コロナ禍を機に施策に弾みをつける「骨太方針2021」

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「経済財政運営と改革の基本方針2021」の内容が確定

「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針2021)が、6月18日に閣議決定された。章立ては、以下の通り。

【第1章】新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナの経済社会のビジョン
【第2章】次なる時代をリードする新たな成長の源泉~4つの原動力と基盤づくり~
【第3章】感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革
【第4章】当面の経済財政運営と22年度予算編成に向けた考え方

第2章では、以下に挙げる「4つの原動力」それぞれについて、具体的な施策を示している。

①グリーン社会の実現
②官民挙げたデジタル化の加速
③日本全体を元気にする活力ある地方創り~新たな地方創生の展開と分散型国づくり~
④少子化の克服、子供を産み育てやすい社会の実現

さらに、これらを支える基盤づくりとして、女性・若者の活躍など以下の10の施策を掲げている。

(1) デジタル時代の質の高い教育の実現、イノベーションの促進
(2) 女性の活躍
(3) 若者の活躍
(4) セーフティネット強化、孤独・孤立対策等
(5) 多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実
(6) 経済安全保障の確保等
(7) 戦略的な経済連携の強化
(8) 成長力強化に向けた対日直接投資の推進、外国人材の受入れ・共生
(9) 外交・安全保障の強化
(10)安全で安心な暮らしの実現

そして第3章では、社会保障改革が、8つの改革の柱の1つとして位置づけられている。ここでは、①感染症を機に進める新たな仕組みの構築、②団塊の世代の後期高齢者入りを見据えた基盤強化・全世代型社会保障改革――の2節が示されている。

平時と緊急時での医療提供体制切り替えの仕組みづくりを急ぎつつ
地域医療構想を推進

社会保障改革について、まず①では「平時と緊急時で医療提供体制を迅速かつ柔軟に切り替える仕組みの構築が不可欠」だとし、症状に応じた感染症患者の受け入れ医療機関の選定、感染症対応とそれ以外の医療の地域における役割分担の明確化、医療専門職人材の確保・集約などについて、できるだけ早期に対応すると記載した。

併せて、将来の医療需要に沿った病床機能の分化・連携などにより地域医療構想を推進すると明示。
具体的に、

▽かかりつけ医機能の強化・普及等による医療機関の機能分化・連携の推進
▽さらなる包括払いのあり方の検討も含めた医療提供体制の改革につながる診療報酬の見直し
▽診療所も含む外来機能の明確化・分化の推進
▽実効的なタスク・シフティングや看護師登録制の実効性確保
▽医学部などの大学における医療人材養成課程の見直しや医師偏在対策の推進

――などを挙げている。

オンライン診療については「幅広く適正に活用するため、初診からの実施は原則かかりつけ医によるとしつつ、事前に患者の状態が把握できる場合にも認める方向で具体案を検討する」としている。

薬に関しては、透明性・予見性の確保に留意しつつ薬価算定基準の見直しを図るとした。また、OTC類似医薬品等の既収載の医薬品の保険給付範囲についても見直すとしている。また、緊急時の薬事承認のあり方について検討するよう求めた。

感染症を踏まえた診療報酬上の特例措置は、その効果を検証すべきとしたうえで、感染症患者を受け入れる医療機関に対し、減収への対応を含めた経営上の支援や病床確保・設備整備等のための支援を行うと明示。それにあたり、診療報酬や補助金・交付金による今後の対応のあり方を検討するよう求めている。

さらに、かかりつけ薬剤師・薬局の普及を進め、多剤・重複投薬への取り組みを強化するよう求めている。また、症状が安定している患者に対し、医療機関に行かずとも一定期間内に処方箋を反復利用できる方策(リフィル処方箋)を検討することも求めた。
また、医療・特定健診等の情報を全国の医療機関等で確認できる仕組みや民間PHRサービスの利活用も含めた自身で閲覧・活用できる仕組みについて、22年度までに、集中的な取り組みを進めるとしている。

新型コロナ対応では、自宅療養者に確実に医療が全員に提供されるよう医療情報を保健所と医療機関等の間で共有する仕組みの構築を、必要な法改正を含め検討するよう記載している。医療法人の事業報告書等をアップロードで届け出・公表する全国的な電子開示システムを早急に整え、感染症による医療機関への影響等を早期に分析できる体制を構築するとした。感染症による不安やうつ等も含めたメンタルヘルスへの対応も求めている。

全世代型社会保障の実現に向け応能負担など総合的な改革を検討

一方②では、まず「社会保障制度の基盤強化を着実に進め、人生100年時代に対応した社会保障制度を構築し、世界に冠たる国民皆保険・皆年金の維持、そして持続可能なものとして次世代への継承を目指す」とうたっている。
22年度から団塊の世代が75歳以上に入り始めるとし、全世代型社会保障の実現に向けた取り組みについて、その実施状況の検証しつつ、引き続き進めるとした。
その際には、保険料賦課限度額の引上げなど応能負担のあり方なども含め、医療、介護、年金、少子化対策など社会保障全般の総合的な検討を進めるとしている。

医療提供体制の整備に関しては、地域医療構想調整会議の協議を促進するため、関係行政機関に資料・データ提供等の協力を求めるほか、都道府県の提供体制整備の達成状況の公表や未達成の場合の都道府県の責務の明確化を行うとした。

22年度予算案の編成に向けての基本的な考え方については、「団塊の世代の75歳入りも踏まえ、将来世代の不安を取り除くため、全世代型社会保障改革を進めるとともに、経済・財政一体改革を着実に推進」すると表明。22年度から24年度までの3年間、これまでと同様の歳出改革努力を継続すると明記した。

社会保障関係費では、「基盤強化期間においてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること、経済・物価動向等を踏まえ、その方針を継続する」とした。
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骨太方針2021は、全体的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけに、むしろ推進力として従来の施策を進めていこうという意図が感じられる気がする。「4つの原動力」はその象徴的なものではないだろうか。医療分野でいえば、オンライン診療の特例の恒久化が分かりやすいだろう。ある意味で「骨太の方針」の「面目躍如」といったところだろうか。(文/ヘルスケア・マネジメント.com)