第2回
未だ議論すらはじまらない2022年度診療報酬改定はどこへ行く

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駆け足の論点整理で懸念される改定内容

診療報酬改定で具体的な報酬を定める役割を果たす中央社会保険医療協議会(中医協)。昨年からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に対し、「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の特例的な対応」を実施しており、総会もかなり頻回に開催されている。ただし、ほとんどがリモート開催で、時折持ち回り開催がある程度だ。

今年度は、中医協にとって2022年度診療報酬改定へ向けた議論が活発化する年となる。普通の改定年であれば、改定の1年前の4月には、具体的な議論が始まっている。ところが、2022年度診療報酬改定に向けた具体的な議論は、まだ始まっていない。

そんななか、4月14日に開かれた中医協の総会で、「次期診療報酬改定に向けた主な検討スケジュール(案)」が示された(図1)。ちなみに、20年度改定時に検討スケジュール案が示されたのは、19年3月6日の中医協総会。この時点で、前回より1カ月以上の遅れが出ている。

こうした遅れは、言うまでもなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が続いている影響だ。スケジュール案では、総会での論点整理を7~8月の2カ月間で行い、9月に意見の整理を取りまとめる方向を示している。9月から年内いっぱいで具合的な各論を議論し、年明け以降に諮問、答申、附帯意見となる。
前回改定時は、論点整理が4月から8月までの5カ月間が充てられていた。今次改定の論点整理の議論は、半分以下の期間ということになる。

2022年度診療報酬改定に向けた検討スケジュール案

2020年度診療報酬改定に向けた検討スケジュール案
図1 上が今回提示されているスケジュール案、下が前回提示されたスケジュール案
(ともに厚生労働省:中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) のページより)

これについて、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、COVID-19の流行によって医療を取り巻く環境や、患者の側の受療行動が変化していると指摘したうえで、「こうした変化を総括する議論が必要」と主張。従来のテーマに総括の議論が加われば、ボリュームが増えることになる。にもかかわらず、より短期間で結論を出すということに対して懸念を示した。

一方、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「すべてにおいてCOVID-19を念頭に置いた議論が必要」とし、「かつてない診療報酬改定になる」と訴えた。

問題山積で「かつてない改定」はどこに着地する

いずれにしても、診療報酬改定の議論は、来年4月という改定時期が決まっているため、これに向けてどう議論を組み立てていくかが課題となる。
総会で、論点の整理に向けた議論が行われるのは7、8月の2カ月間。通例では8月は「お盆休み」で、ほとんど会合は開かれない。これをあえてやるのか、また、どのくらいの頻度で総会を開催するのか。まだわからない部分も多いが、議論の総時間数は確実に減少するだろう。

一方で、COVID-19の影響を踏まえた「診療報酬上の特例的対応」については、これらの議論とは切り離して決められていくはずだ。夏の議論は、テーマを絞りこんだものになる可能性が高いだろう。結果的に、改定項目を絞り込んだ改定になることが予想される。さらに、予算そのものが引き続き特例的なものとなる可能性が高く、「厳しい」改定になるのではと危惧されるところだ。

COVID-19の影響は大きく、松本委員の発言ではないが、「かつてない改定」になることは間違いないだろう。通例とは違った動きとなる可能性もある。注視しておきたい。(文/ヘルスケア・マネジメント.com)