医療経営士からの実践報告!病院改善ケーススタディー
チームづくり×進捗管理で
着実な経営改善を実現

新型コロナが5類に移行されても入院患者数は回復せず、前年度に続き減収が予想された。福島赤十字病院の金子瑛氏はチームづくりとアクションプランで経営改善に挑んだ。その取り組みと成果について、2024年の「全国医療経営士実践研究大会」福岡大会の演題発表より紹介する。

会議体の再構築により動けるチームづくりを実践

新型コロナウイルス感染症のまん延により、全国の医療機関で経営が悪化しました。当院でも例にもれず2020年度の赤字額が大幅に増大し、22年度は19年の新築移転後、最大の赤字が見込まれる状況でした。

まずは、チームづくりです。当院では幹部や院長補佐、事務部課長が参加する経営会議が毎月末に開催されていました。経営企画課から収支報告は行っていたのですが、具体的な経営改善を立案できていませんでした。次第に報告だけの場となってしまい、参加者からも「なぜこの会議を行っているのか」という疑問が出ていました。
そのようななか、23年3月に病院機能評価の受審(更新)があり、経営企画課が事務局を担っていました。もともと、医療の質に関する取り組みを管理する部署や委員会がないことが当院の課題の1つでもありました。そこで、これをきっかけとして経営と医療の質に関する2つの議論を活発に、継続して行う手段の検討を行いました。

そこで、これまでの経営会議を総合戦略会議とし、部会からの報告・提案を受け協議を行う病院の意思決定機関として位置づけることにしました。その下に収支の改善を目的とした「経営部会」と病院ブランドの向上を目的とする「医療の質向上部会」を置き、そこで議論したアイデアを総合戦略会議で決定する仕組みとすることでそれぞれの会議の役割が明確化でき、議論の活性化にもつながりました。

図1 会議体の再構築で議論の質向上に加え参加者のモチベーションもアップ

アクションプランシートで進捗管理を見える化

しかし、会議体をつくっただけでは仕組みがつくれたとは言えません。その会議での決定事項をしっかりと進めていくことができなければ意味がありません。
そこで、経営部会のなかで進捗管理ができるような方法を検討していたなかで、看護部が目標管理に使用していたアクションプランシートにヒントを得て、経営部会で使用する「アクションプランシート」を作成。取り組む項目ごとに達成目標とそのために必要なアクションプランを盛り込み、それぞれをスケジュール管理できるようにしました。
このシートを活用することで経営改善の進捗管理が可能になりました。計画と実施の差を容易に把握できるため、迅速に改善につなげることもできます。さらに、実施者にとっても自分の業務を記録していくことで自身のモチベーションの向上にも寄与します。
23年度は経営企画課・医事課・用度施設課でアクションプランに基づく経営改善を実施しました。経営企画課では手術室稼働率の向上、医事課では救急医療管理加算件数の増加、用度施設課では機器保守料の削減に向けて取り組むといったように、具体的な成果を上げることができています。

図2 アクションプランシートでの進捗管理でPDCAサイクルを確実に回す

今回の取り組みでは、チームづくりと進捗管理の仕組みづくりを同時に行ったことで経営改善の実行力向上につながりました。なかでも経営部会の設立により、少人数に絞った経営の主要メンバーが毎月集まるため結論も早く、問題点が発生した場合に迅速に対応できることや、外部業者を導入する際などに主要メンバーへの説明で会議の時間を利用できるというメリットも生まれました。
また、参加している院長、看護部長、事務部長といった経営幹部に現場の努力を迅速に伝えられる場ができたことは、現場のモチベーションアップにも大きく寄与していると考えています。

現状ではまだ目標には達していないため、経営部会に新たなメンバーを追加して各部署でも新たなアクションプランによる取り組みを開始しています。今後も、さらにチームで経営改善を進めていきます。(『最新医療経営PHASE3』2026年2月号)

福島赤十字病院事務部経営企画課経営企画係長
医療経営士2級
金子 瑛さん

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