“その人らしさ”を支える特養でのケア
第98回
研修会の内容を実践に活かすには
従来の集合研修でも、最近増えているオンライン研修でも、その研修で得た知識を日常の業務にどう生かすかが重要です。どんな目的で受講したいのか?受講動機を明確にするために4パターンに分類して考えてみました。
オンラインでも集合でも受けっぱなしはダメ
コロナ禍以降、オンラインで受講できる研修がずいぶん増えました。私のメールアドレスには、週に3通くらいオンライン研修のお知らせが届きます。個人的には、ちょっと気になることを気軽に学べる機会として活用しています。「研修」といえば会場に出向かなければならなかった頃と比べると、研修参加の敷居も下がったように感じます。また、各メーカー様で主催していただく研修は無料で受講できるものもあり、本当にありがたく思っています。
一方で、最近は「集合研修にはなかなか人が集まらない」なんてことも耳にします。会場までの移動に時間がかかったり交通費や宿泊費が発生したりしますので、手間や時間、費用が必要なため、オンライン研修のように「気軽に受講」とはならないのかもしれません。
しかし、集合研修では講師に直接質問したり、同じことに興味がある仲間と出会ったり、情報交換をしたりと、「人が集まる」からこその大きなメリットがあります。お互いの顔を知る機会にもなり、地域連携にも一役買うのではないでしょうか。
さて、皆さんはオンラインでも集合型でも、研修を受けた後「受けっぱなし」になっていませんか?
偉そうに書きましたが、私も受けっぱなしになってしまいます。受講後のアンケートなどで「明日からの業務に活かせそうですか?」と聞かれ「はい」と答えてはいるものの、「実際はそうでもないか」と反省する日々です。
研修の目的別に4つに分類してみる
研修で得た知識を業務に活かすにはどうしたらいいのでしょうか。自分の反省もこめて考えてみます。まず、研修を選ぶ際の目的や決め手によって業務への展開が変わってきます。受講動機が明確であればあるほど、得た知識を業務に活かしやすくなるのではないでしょうか。研修の目的別4つのパターンを考えてみました(図参照)。
皆さんはどんな目的で研修を受業務上の具体的けていますか?課題や疑問を解決するため、研修テーマに強い興味があり知識を深めたい、講師の権威性や業界での実績に魅力を感じ、そのノウハウを直接学びたい――などが想像できます。また、友人・知人に誘われた、所属している職域団体の必須の研修だったということもあるかもしれません。
業務に必要でその疑問点の解決等を目的に受講する場合(図のA、Bエリア)は業務への展開は比較的容易で、研修で得た解決策を活用すればいいだけです。
研修テーマに興味があって受講する場合(図のCエリア)であれば、充実した研修が約束されるでしょう。仕事のことは少し置いておき、自分の興味に対して貪欲に学べます。個人的には、研修で学んだ新しい知識が自分の業務とつながって新しいノウハウに気づくことがあり、A、Bエリアの研修より積極的に受講したい研修です。
冒頭で紹介した週に3通くらい届く研修のお知らせも、半分くらいはこのエリアに関連した内容です。最近は、口腔衛生に関連した内容や自分の健康管理に役立つ内容に惹かれています。
また「講師に魅力を感じて受講」もここに分類されるかなと思っています。私はときどき講師側も経験させていただくので、このように思って受講していただけるなら大変うれしく思います。「期待外れ」と思われないよう、研修内容も工夫しています。
友人や知人に誘われたから「しょうがない、つき合うか……」と嫌々参加するのはDエリアの研修ではないでしょうか。「業務に関係ないし、興味もない」内容は受講しなくて良い研修だと思います。ときどき「掘り出し物」に出会う可能性もありますが、たとえオンラインであっても研修の時間を確保しなければなりません。時間は有限です。資格取得等で必須の研修であれば受講しなければなりませんが、それ以外であれば、無理に受講しなくてよいと思います。
事前に準備しておくとより深い学びになる
次に、受講前に準備が必要だと感じています。具体的には、日常の業務を整理して俯瞰的、客観的に見られるようにしておくことです。「何となくよくわからない」状態で研修を受けた時、自分の業務のどこに何をあてはめれば良いかはっきりしないまま終わってしまい、受講内容を活用できない可能性があります。
もちろん、業務を整理してみたけれど、よくわからない場合もあると思いますが、受講中に気づきが生まれることがありますので、少なくとも業務の流れと聞きやすい場面を思い出すくらいはしておくと良いと思います。
特にBエリア(必要だが興味がない)の場合は、事前に準備をしておくほうがより深い学びになると感じます。私にとっては、興味がない話を聞くことは苦痛ですが、「仕事だ」と割り切って日常業務と比較しながら受講しています。そうすると、「興味ない」と思っていた内容でも身近に感じられて多くの気づきを得たり、深い学びになったりしています。
ちなみに個人的には、Bエリアの研修は集合研修のほうが受講しやすいです。オンラインだと緊張感がなく集中が途切れやすいためです。
最後に、研修に参加する時間がない、どれを受講して良いかわからない方は、どんな目的で受講したいのかを考えてみてださい。おそらくAエリアにあてはまる研修は積極的に受講したほうが良いものが多いので、そこに限って時間を捻出するのが良いかもしれません。
研修のお知らせをいただくと「どうしても受講しなければ」と思っていた時期もありましたが、研修の目的を明確にすると、必要かそうでないかの判断が楽になったと感じています。そして、やたらと参加していた頃に比べると、研修で得た知識をもとに知見が広がっているように感じます。
私には「会いたい人がいるから行く研修」というものも存在していて、そこでの出会いが私の栄養士としての土台となっています。
知識を得るだけでなく、仲間づくりのために研修を活用するのも良いかもしれません。(『ヘルスケア・レストラン』2026年2月号)
特別養護老人ホーム ブナの里
よこやま・なつよ
1999年、北里大学保健衛生専門学校臨床栄養科を卒業。その後、長野市民病院臨床栄養研修生として宮澤靖先生に師事。2000年、JA茨城厚生連茨城西南医療センター病院に入職。同院の栄養サポートチームの設立と同時にチームへ参画。管理栄養士免許取得。08年、JA茨城厚生連茨城西南医療センター病院を退職し、社会福祉法人妙心福祉会特別養護老人ホームブナの里開設準備室へ入職。09年、社会福祉法人妙心福祉会特別養護老人ホームブナの里へ入職し、現在に至る

