ケーススタディから考える診療報酬
第44回
急性期病院は365日の
リハビリ体制をどう構築する

執筆時点では診療報酬改定の基本方針が出たのみですが、本誌が皆さまの手に届くころにはすでに2026年度診療報酬改定の全体像が明らかになっていると思います。改定内容が決定していない状態だとしても、徐々に出てくる改定に向けた議論から改定内容を見据えた準備はできるはず。今回は、以前より指摘されていた「急性期病院のリハビリは365日化に」という流れが見えてきた改定の議論から巻き起こったある事例から、急性期病院のケアのあり方と経営の最適化について考えていきたいと思います。

ケース:リハビリは“毎日”が良いようだが……

*今回とりあげたテーマについて、実際に現場で起こっている問題を提起します
(特定を避けるため実際のケースを加工しています)

とある自然豊かな地域の総合病院(急性期一般入院料1と地域包括ケア病棟を有するケアミックス病院)のお話です。この病院のリハビリは、土曜日は平日の半分、日曜・祝日は基本的にリハビリの出勤はなく、3日以上の連休の際には中日にセラピストが出勤するという勤務形態で運用していました。

ある日、病院の経営会議で筆者が診療報酬改定の議論として「急性期における早期のリハビリ実施を評価した急性期リハビリテーション加算等について、発症からの日数を制限する方向で検討されている(執筆時点では発症後3日以内という制限が濃厚)」ということをお伝えしました。これまでも、診療報酬改定の議論では回復期リハビリテーション病棟入院料1・2のように、急性期でもリハビリは365日の実施は必要であるということは指摘され続けており、2024年度改定では【リハビリテーション・栄養・口腔・連携体制加算】という365日のリハビリが実質要件となった急性期の加算が登場しています。26年度改定ではその流れが進化し、今まであった加算が【365日のリハビリが実施されていないとこれまで得られていた収入が減ってしまう可能性あり】というメッセージが示された形になります。

会議の終了後、筆者はリハビリ部長と病院長に声をかけました。

リハ部長「365日のリハビリ実施は困りました……。スタッフから不満が出て退職の原因にもなってしまう。このあたりで【土日祝日休み】をうたう求人を出している病院はないので、リハビリ部門としての魅力がなくなってしまう……。セラピストが少なくなるよりも加算の収入減のほうが影響は小さいのではないのかな……」

病院長「部長がこう言うので、うちとしてはどうすべきなのか悩んでいます。そりゃ、365日リハビリが実施できれば良いにこしたことはないのですが、スタッフがいなくなってしまうのでは本末転倒です」

この話をコッソリ開いていたリハビリスタッフAさんから、筆者に声がかかりました。

Aさん「部長はああ言っていますが、セラピスト全員ではないですが多くが『毎日リハビリしたほうが良い」と感じています。なので、リハビリ部門としては体制変化はいたし方ないものとして受け入れると思います。正直なところ、管理職が嫌なんじゃないかな……。リハ栄養口腔体制加算についてもスタッフはやる気だったのに……」

今回のケース、どのような感想を持ちましたか。急性期におけるリハビリの重要性は常々指摘されてきましたが、診療報酬改定を通した政策誘導としてさらに一歩踏み込んだ議論が2026年度改定内容として検討されました。診療報酬の流れを読み取り、何より患者利益に叶うものとして先んじて365日のリハビリ実施を始めている急性期病院も増えてきていると感じていますが、リハビリ部門の強い抵抗から365日のリハビリ体制にもちこめないと悩む経営者の声も少なくないようです。

実は、リハセラピストの皆さんと話をしてみると、連日必要なリハビリを実施している患者さんのほうが明らかに回復が良いことを実感しているためか、365日のリハビリ体制について「積極的に行いたい」とまでは言えないとしても「変化はやむを得ない」というスタッフが多いようです。

ただし、中医協の資料で指摘されていた曜日ごとのリハビリ介入状況(図表)のように、土日・祝日にリハビリを実施している病院はまだまだ十分ではないようです。26年度改定で急性期リハビリテーション加算等の要件が「発症から3日以内」になった場合、金曜日が発症日だと土日・祝日にリハビリを実施していなければその分の加算収入がなくなってしまいます。収入の影響も踏まえると、急性期におけるリハピリのあり方はおのずと決まると考えます。
リハビリという医療の質の面、そして加算という病院収入の面からも「365日のリハビリ体制をどう構築するか」という解を導いていくことが求められています。

結論

365日のリハビリができる方法について
スタッフを巻き込んで考えていこう

上村久子
株式会社メディフローラ代表取締役

うえむら・ひさこ●東京医科歯科大学にて看護師・保健師免許を取得後、総合病院での勤務の傍ら、慶應義塾大学大学院にて人事組織論を研究。大学院在籍中に組織文化へ働きかける研修を開発。2010年には心理相談員の免許を取得。医療系コンサルティングを経て13年、フリーランスとなり独立

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