マネジメント カウンセリング・ルーム
Vol.19
ミーティングを活用し組織の力を育てる
<今月のご相談>医事課では月に1回、課内ミーティングの全体会議を行っています。注意事項の共有や困り事などを皆で相談する会議です。率直な意見を言い合ったり解決策を提案したりするのですが、自分の意見は言わないくせに、他の人の意見に対して上から目線な態度の人がいて、毎回嫌な気持ちになります。
相手の気持ちを見抜いて適度な距離感で衝突を避ける
現場での困り事を相談するミーティングを毎月開催しているのは、とても良いことですね。常動の職員だけでなく、非常勤職員の方々も参加することで、日頃、なかなか落ち着いて話をできない方の困り事などもうかがえる貴重な機会になっていることでしょう。業務改善のタネもたくさん拾えると思いますし、良いディスカッションの場になっていることでしょう。
さて、お悩みの件ですが、自分から積極的に意見を言うわけではないのに、他の人の発言には必ずひと言添えずにはいられない人は、どこの職場にも一人や二人はいるものです。「それ、前にも同じような話題がありましたよね」とか、「そうそう、私はそんなときはこうしていますけど……」と、まるで“正解を知っている”かのように語る人。悪気はないのだと思いますが、どこか上から目線に聞こえてしまいます。
せっかく誰かが勇気を出して話してくれた内容がふっとしぼんでしまい、微妙な沈黙に支配されてしまう。そんなことがたびたびあると、ちょっと嫌な気持ちになりますよね。
こうした「知っているふうコメント」をする人は、会議の雰囲気を壊したいわけでも相手を見下したいわけでもなく、むしろ、「話題に取り残されたくない」「自分も同じように感じていた」という思いが、少しねじれた形(自己主張気味)で出てしまっているのだと思います。自分の意見を被せてマウントを取るというよりも、自分の安心を得るための発言であり、知識や経験を語ることで居場所を確かめているのかもしれません。
そう考えると見方が少し変わってきます。相手を「面倒な人」として構えるより、「この人も会話に参加したいんだ」と思って、「そうなんですね」「同じような体験をされていたのですね」とふわりと受け止めてから話を次へ進めると自分の心も軽くなります。自分の意見を否定されなければ安心して、それ以上しつこく話を被せてくることはないと思います。
もしあなたと意見が違っても、自分を主語にして話すアイメッセージで「私はこう感じます」「私はちょっと違うアプローチのほうが好感をもてると思います」などと伝えれば、意見のぶつかり合いを避けて、相手との距離を適度に取りながら話し合いができると思います。
押しつけ意見にならぬよう自身の発言にも気配りを
また、“いつも後から発言”が多いようなら、時には「この件について○○さんはどう思いますか?」と最初に意見を言ってもらうのも良いと思います。早めに意見を出してもらうことで“被せるしかない状祝”を防げることもあります。少しの工夫で、場の流れが驚くほど変わるものです。
職場内のミーティングはオーブンな場ですから、誰もが発言しやすい雰囲気は保ちたいですね。何か意見を言うと“いつも強い意見を被せられてしまう”と他の方々が感じてしまってはいけませんし、“あ、また独演会が始まった”と思われるようになっては場の空気が重くなります。相手のなかにある「認めてほしい」を見抜いて、ほんの少しだけ受け止める。その一瞬の対応が、チーム全体の心理的安全性を守ることにもなります。
また、経験を重ねるほど人は「言いたくなる場面」が増えていきます。後輩や部下に意見を伝える際には、アドバイスの形をした“上から目線の押しつけ意見”になっていないか、自身の発言にも気を配りたいですね。
他人を変えることは難しいですが、かかわり方を変えることは今日からでもできます。誰もが気持ちよく話せる職場を育てていくことが、組織の本当の力を育てることにつながるのだと思います。(『最新医療経営PHASE3』2025年12月号)

