“その人らしさ”を支える特養でのケア
専門職として「学び続ける」理由
更新のない資格でも、「もっと詳しく理解したい」「業務に生かせる知識を得たい」という気持ちから、研修会や学会へ参加したり知見を深めたり、人前で話し・説明する機会を増やすことでブラッシュアップできます。
更新のある資格と更新のない資格
ある日、同僚の介護支援専門員と「資格更新研修」の話題になりました。介護支援専門員は5年ごとの更新制で、更新のためには既定の研修を受けなくてはいけません。「オンラインで受講できる」とのことでしたが、ライブ研修とオンデマンドのeラーニング、事例の提出など「すごく時間がかかる」のだそうです。
「コロナ禍以前は集合研修であったため交通費や、場所によっては宿泊費が必要となるうえ、受講料に必要経費が上乗せされて経済的にも負担だった」と同僚が話してくれました。
しかし、仕事を続けるためには資格の更新を行う必要があり、必然的に「学び続けブラッシュアップできる仕組みになっているのだな」と感じました(ご存知だとおもいますが、介護支援専門員は医療介護系の国家資格を有し、一定の経験年数があることが受験資格であることを申し添えます)。
一方、私は管理栄養士の資格を持っています。管理栄養士は、国家試験に一度受かれば更新はありません。そのため、仕事を続けるために必須な更新研修はないといえます。
私は勉強が得意ではないため、国家試験の受験勉強の際は「なぜ管理栄養士をめざしたのか」と何度も思うほどで、合格の際には「もう勉強しなくていい」と安堵した記憶があります。
しかし、栄養サポートチームで仕事を始めると、状況が変わりました。わからない単語、略語……等を調べるところからスタートし、栄養管理に関連するさまざまなことについて「もっと詳しく理解したい、業務に活かせる知識を得たい」と思うようになりました。
このような気持ちから、研修会や学会への参加に熱が入るようになりました。また、参考書や論文を読んだりして知見を深める行動を始めました。
大変ありがたいことに、「人前で話す、説明する」という機会に多く恵まれたこともあり、聞く人がわかりやすいように説明するために、より詳しく、より多角的に知ることが必要になりました。当時の上司に「教えることは二度学ぶこと(ジョセフ・ジュベール)」と教わり、それを体感した時期でもあります。
現在の職場に移ってからは、今までの経験とは違った視点や考え方が必要となり、基礎から学び直す必要があると感じました。
病院では、患者の病態や治療について知っておく必要があるように、特養ではご利用者の生活の様子を知ることが必要です。そこから派生して、介護職員が担当するケアも、内容や手順等がわかるとご利用者の生活がより鮮明に見えてくるように思います。
また、高齢者ケアには切っても切り離せない認知症についても、病院勤務時代には経験する機会が少なかったために新たに学び始めた分野です。
日常業務を思い起こせば、カンファレンスやサービス担当者会議などで栄養ケアについて説明する際、自分の考えの裏づけとなる知識やスキルは、多職種に納得してもらうための大きな武器となるでしょう。前述した「教えることは二度学ぶこと」の実践例です。
また、多職種から質問があったり違う視点からのブランが上がったりした時に、自分の知識になかったことだと感じたら学びを深めるチャンスととらえ、自分なりに調べることで新しいスキルが習得できます。さらに、他職種の専門的な知識に触れた時も、直接教えてもらったり改めて自分で調べたりすることも、自身のアップデートにつながると考えています。
管理栄養士の資格を充実させる資格を取得
ここで、認定資格の取得についにても触れたいと思います。
私は、管理栄養士の他に栄養経営士(日本栄養経営実践協会認定資格)と健康咀嚼指導士(日本咀嚼学会認定資格)を取得しています。「管理栄養士としての総合力を評価してもらえる資格はないか」と探した時に栄養経営士を発見。さらに、基礎研修も資格試験も自分の好きな時に取り組めることを知り、私にとっては受験しやすい資格でもありました。栄養経営士については、本誌で「栄養経営士になろう」が連載されていますので、詳細はそちらをご覧いただくと良いと思います。
もう一つ、健康明瞻指導士は「咀噂の意義を正しく理解し、その知識を一般の人々や自分自身の専門領域のスタッフにわかりやすく説明できる人材、また、咀嚼に関する質問や相談を受けた時には、対処法や必要に応じてより適切な相談先を教えることができる人材(特定非営利活動法人日本咀嚼学会ホームページより抜粋)」と定義されています。
所属している新潟県栄養士会からの情報がきっかけで受験した資格でしたが、ミールラウンドの際、ご利用者の口の動きを評価する際にたいへん役立っています。先日、資格更新のための研修会に参加しましたが、資格取得試験の際に受講した時よりも研修内容の理解が早くなっていることに気がつき、業務中に活用していることで自然と身についていたのだと感じました。
取得したあとの“学び”が次の栄養ケアを支える糧に
個人的には、興味があったり業務に活かしたいと感じて勉強したことの先に資格取得があると思っているため、「○○の資格を取りたい」と、資格取得だけを目的にゼロから勉強を始めることはありません。さらに、管理栄養士さえあればいいじゃないか(子育てで時間もないし)とも思っていました。しかし、資格取得の勉強をすることで自分の知識に偏りがあったことを知ったり基礎知識の復習で新たな気づきがあったりと、資格取得だけではない大きなメリットがあると感じています。
日常業務の忙しさに加え、ブライベートの状況もさまざまですよね。読者の皆さんの時間は有限ですので、なかには「学び」を取り入れるのは難しい場合もあるかもしれません。
でも、新しく知った病気を調べてみる、本誌で新しい取り組みをしている施設の活動を知るなど、数分でできることから積み上げていくことは可能ではないでしょうか。その知識が次の栄養ケアを支える欄になるはずです。
私も、皆さんに新しい取り組みをご紹介できるように学び続けていきます。一緒に頑張りましょう。(『ヘルスケア・レストラン』2025年10月号)
特別養護老人ホーム ブナの里
よこやま・なつよ
1999年、北里大学保健衛生専門学校臨床栄養科を卒業。その後、長野市民病院臨床栄養研修生として宮澤靖先生に師事。2000年、JA茨城厚生連茨城西南医療センター病院に入職。同院の栄養サポートチームの設立と同時にチームへ参画。管理栄養士免許取得。08年、JA茨城厚生連茨城西南医療センター病院を退職し、社会福祉法人妙心福祉会特別養護老人ホームブナの里開設準備室へ入職。09年、社会福祉法人妙心福祉会特別養護老人ホームブナの里へ入職し、現在に至る

