院長婦人はコンサルタント
第111回
「助っ人」が足手まといに……
人のやりくりは難しいよ
3月に入っても雪交じりの日があり、春の実感は先になりそうだ。
2月初旬に産休・育休に入った受付スタッフからそろそろ出産の連絡が入る頃。少子化が叫ばれる世の流れに逆行し、当院では出産が続いている。おめでたい半面、スタッフのやりくりは本当に大変だ。
自動精算機&オンライン予約導入&電話応対時間を絞って省人化を図ったものの、なぜか成果を感じられない。通常、午前3人で受付会計予約・電話応対と翌日のカルテ準備もしていたのに……。
たとえば、午前中なら9時~9時30分は電話応対可、9時30分~11時は電話応対不可、11時~12時は電話応対可能という感じでメリハリをつけたつもりだ。人員についても、正職員1人とベテランパート1人に加え、助っ人パートも去年から入れていた。かなり以前に午後パートでお願いしたことのある、妊娠をきっかけに数カ月で退職した人だ。
退職後も娘さんの受診で来ることもあり連絡が取りやすかったので、“猫の手”よりはましだろうと午前パートの助っ人で入ってもらった。あまり仕事はできないタイプだったが、1から新人を教える苦労と天秤にかけ、少し働けばまた思い出すだろう……と軽い感じでお願いした。
最初は受付業務に加え、翌日のカルテ準備や掃除等の雑用を主にやってもらっていたが、会計&予約業務の研修を行い、時間を決めて業務に入ってもらう段取りを組んだ。毎日、他のスタッフの動きを見ていれば何となくわかるだろうと、助っ人スタッフにも会計&予約業務に入ってもらう運びとなったが、全く頭に入っていないことが判明。以前のサマンサなら結構厳しく指導したが、人手不足ではそうもできない。ましてや正職員の産休・育休は今後も続きそうだし、“人員不足”を理由に雇用し続けることで他のスタッフのパフォーマンスが落ちるのは避けたい。
場合によっては、助っ人スタッフにタオルを投げないといけないなと思案しつつ、最近よく目にする医療職求人アプリに登録し、受付パートの募集を。ハローワークより手軽に検索しやすいツールだが、なかなかのくせものだった。
出足は順調だった。ハローワークであれだけ募集を出しても問い合わせがなかったのに、アプリ経由ではいきなり3人も応募があった。ただ、手軽に応募ができるということは取り扱い注意の求職者の登録も多いという感触。アプリでは経歴が良くわからないため、履歴書送付をお願いし返信があった方とお会いした。
そのうちの1人は医療事務経験者で、期待に胸弾ませ面談。残念ながらその求職者は面談中ずーっと自分の自慢話(どうやらかつてモデルもしてたらしい)をし、一向にサマンサの説明を聞こうとしない。眼科以外の他科勤務が長かったようで、「○○科ではこうでした」と言い続け……サマンサも辟易した。
結局、アプリ経由ではなくハローワーク経由の応募者に決めたが、今回は午後パートとして採用し、とりあえず鍛えて午前の助っ人パートとスイッチングも思案中。とはいえ、産休・育休スタッフが戻って来ても人員オーバーにならないように思案しながらの綱渡り。サーカス団員サマンサの、苦悩は続く。(『CLINICばんぶう』2025年4・5月号)