社会保障短信(2月10日号)
医療・介護福祉など社会保障関連の情報をお届けします。
◆トピックス…東京都が民間病院対象に支援金
◆ひとこと…新たな地域医療構想における外来・訪問機能
◆今週の数字…59.0%
トピックス:東京都が民間病院対象に支援金
▼現下の状況を踏まえ緊急・臨時的支援
東京都は1月31日に2025年度当初予算案を公表した。このなかで新たに、「地域医療確保緊急支援事業」として321億円を計上した。
「本来は、国が診療報酬改定などで対応すべきものであるが、現下の状況を踏まえ、都内民間病院に対して緊急的・臨時的な支援を行うとともに、高齢者の受け入れや小児・産科・救急医療等における患者の受入体制の確保に向けた支援を実施する」と説明している。
主な事業内容は
①地域医療確保に係る緊急・臨時支援事業(166億円、2025年度)
②高齢者受入体制確保事業(94億円、2025~2027年度)
③小児・産科・救急医療受入推進事業(61億円、2025~2027年度)
の3つ。
▼入院患者1日あたり580円
地域医療確保に係る緊急・臨時支援事業では、緊急的かつ臨時的に、支援金として入院患者1人当たり1日580円を交付する。対象となるのは都立、市町村立、国立病院機構などの公立病院を除く600弱の病院で、10万6406床分。
高齢者受入体制確保事業では、高齢者受け入れのために病床を確保した病院に対して病床確保料を支払う。1床当たり年629万円。1484床分。対象となるのは都立、国立病院機構などの公立病院を除く、市町村立を含む600強の病院。
小児・産科・救急医療受入推進事業では、小児・産科・救急医療において患者の受け入れを推進するための体制を確保する病院を支援する。1診療科当たり1114万円で、547病院が対象。
東京都の民間病院は土地代や人件費、物価などが他の地域に比べて割高である点を指摘し、全国一律の診療報酬のもとでは一層厳しい経営を迫られているとの声が挙がっていた。
東京都病院協会などは「東京都独自の入院基本料」を求めていたが、これに呼応する形になったと言える。都病協の関係者は「1床580円という額は大きいとは言えないが、第一歩を踏み出した意義はある」と評価している
▼電子カルテ導入支援の予算を大幅増
また「医療機関診療情報デジタル推進事業」として、26億5200万円を計上した。前年度より17億8000万円分、増加している。
医療機関が質の高い医療の提供ができるよう電子カルテシステムの整備を支援するもの。補助率は中小病院と診療所が4分の3、200床以上の病院が2分の1。
補助額は、病院向けで導入支援が1床あたり60万5000円、41施設分。事務作業支援が1施設あたり360万円、1施設分。診療所向けで導入支援が5床以上に対し1床あたり60万5000円、3施設分。その他で1施設あたり300万円、342施設分。
ひとこと:新たな地域医療構想における外来・訪問機能
「医療機関機能も基本的には病院の機能のことが書いてある。考えてみると総論のところに書いてあるように、例えば外来機能とか訪問の機能をどうやって確保していくのか。確保していかないといけないというのは書いてあるわけですけれども、ブレークダウンした構想の方向性みたいなことはあまり明確に書いていない」
香取照幸
一般社団法人未来研究所臥龍代表理事
~第14回新たな地域医療構想等に関する検討会 2024年12月6日
今週の数字:59.0%
200床未満病院における、2023年時点での電子カルテシステムの普及状況。2017年で37.0%だったものが20ポイント以上増えたことになる。400床以上の病院で93.7%、200~399床で79.2%、一般診療所で55.0%。(出典:「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム資料、2025年1月22日))
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)