社会保障短信(8月10日号)

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トピックス…かかりつけ医機能制度の「議論の整理」まとまる
ひとこと…医療DXについて
今週の数字…89.4%

トピックス:かかりつけ医機能制度の「議論の整理」まとまる

▼2026年1月に最初の報告
「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」は7月31日、報告書となる「議論の整理」を公表した。改正医療法に基づいて制度整備を行い、2025年4月から施行される予定。医療機関によるかかりつけ医機能報告は特定機能病院と歯科医療機関を除く病院・診療所で、毎年届け出ることになる。1回目の報告は2026年1~3月に実施されることになる。

「議論の整理」は
①はじめに
②基本的な考え方
③制度の施行に向けて省令やガイドライン等で定める必要がある事項
④かかりつけ医機能が発揮されるための基盤整備、国の支援のあり方等
⑤障害のある方に対するかかりつけ医機能
⑥今後の対応
――で構成されている。

▼一次診療を行える疾患も報告
かかりつけ医機能を有する医療機関の明確化に向けた取り組みの一つに「かかりつけ医機能報告による報告・公表」がある。
具体的な機能と報告事項として、まず1号機能「継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能」があり、特定機能病院と歯科医療機関以外は報告することになる。

報告事項は主に
①具体的な機能を有することと報告事項を院内掲示で公表していること
②かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、総合診療専門医の有無
③17の診療領域ごとの一次診療の対応可能の有無、いずれかの診療領域について一次診療を行うことができること(一次診療を行うことができる疾患も報告)
――の3つとなる。

このうち、②については研修充実の状況などを踏まえて改正医療法施行後5年をめどに改めて検討する。

③で示された17領域は、皮膚科・形成外科領域、神経・脳血管領域、精神科・神経科領域、眼領域、耳鼻咽喉領域、呼吸領域、消化器系領域、肝・胆道・膵臓領域、腎・泌尿器系領域、産科領域、婦人科領域、乳腺領域、内分泌・代謝・栄養領域、血液・免疫系領域、筋・骨格系及び外傷領域、小児領域。

また、報告できる疾患は患者調査による推計外来患者数が多い傷病をもとに検討して設定する。
「議論の整理」では推計外来患者数1万5000人以上の傷病を抽出しており、約59万人の高血圧や約42万人の腰痛症、約30万人の関節症(関節リウマチ、脱臼)など40疾患を「一次診療に関する報告できる疾患案」として挙げている。

この報告事項についても制度施行後5年をめどに改めて検討する。

▼2号機能は4項目を報告
1号機能のいずれも「可」の報告の場合は、「1号機能を有する医療機関」として、2号機能の報告を行う。

具体的な機能としては
(ⅰ)通常の診療時間外の診療
(ⅱ)入退院時の支援
(ⅲ)在宅医療の提供
(ⅳ)介護サービス等と連携した医療提供
――の4つが挙がっている。

(ⅱ)については、在宅患者の後方支援病床を確保し、地域の退院ルールや地域連携クリティカルパスに参加し、入退院時に情報共有・共同指導を行う機能と説明している。

▼患者が探しやすいよう医療情報ネットも改良
かかりつけ医機能に関する医療機能情報提供制度の見直しにも触れている。かかりつけ医機能の報告事項は原則的に、医療機能情報提供制度の情報提供項目に位置づける。
その際、医療情報ネット「ナビイ」で、用語解説を作成し、かかりつけ医機能の内容と上手な医療のかかり方について周知する。

また「ナビイ」における検索性・利便性も高めるため、トップページに「かかりつけ医機能で探す」ボタンを追加する。

構成員からは「制度施行により実装が進むわけではない」との指摘が出ているが、担い手の問題や「かかりつけ医機能」に従事する医師の確保など、各地での議論の深堀りが求められる。特に一人開業医がどう関与するかなどは引き続き懸案になりそうだ。

ひとこと:医療DXについて

「医療DXについては、やはり手戻りが起こらないよう手順をよく考える必要があります。しかも、支払基金の抜本的な改組もするということであれば、もう一度足元を固めるとともに、医療DXについて全体としてどの程度のコストがかかり、それを誰がどういう基準で負担をするのかということも示していかないと、なかなか理解が進まないのではないかという懸念が強くあります」
島崎謙治
国際医療福祉大学大学院教授
~第109回社会保障審議会医療部会 2024年7月12日

今週の数字:89.4%

2024年5月時点での、社会福祉法人における介護職員等処遇改善加算を算定した法人のうち、同加算(Ⅰ)の算定状況。同加算は「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」とともに、2024年度介護報酬改定で一本化されている。(出典:福祉医療機構「社会福祉法人経営動向調査の概要」2024年7月9日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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