社会保障短信(7月11日号)

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トピックス…かかりつけ医機能の分科会で「議論の整理」
ひとこと…ケアマネの「本来業務」について
今週の数字…41万1000円

トピックス:かかりつけ医機能の分科会で「議論の整理」

▼議論の整理(案)を示す
「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」の7月5日の会合で、厚生労働省から「議論の整理(案)」が示された。かかりつけ医機能が発揮される制度は2025年4月に施行されることになっている。
この制度の施行に向け
▽基本的な考え方
▽施行に向けた省令やガイドラインなどで定める必要がある事項
▽かかりつけ医機能が発揮されるための基盤整備、国の支援のあり方
▽障害がある人に対するかかりつけ医機能
――について、これまでの議論内容をまとめる形で示した。

このうち、省令やガイドラインなどで定める必要がある事項としては、
①かかりつけ医機能が発揮される制度の枠組み
②「かかりつけ医機能を有する医療機関」の明確化
③「地域における協議の場」での協議
④「かかりつけ医機能を有する医療機関」の患者等への説明
――が挙がっている。

①については医療機能情報提供制度の刷新やかかりつけ医機能報告の創設、患者に対する説明などがある。

▼1・2号機能の案もまとめる
②のなかには「報告を求めるかかりつけ医機能の内容」があるが、これについては別途議論することが記載されている。これについての内容案も、会合で示された。

報告を求めるかかりつけ医機能の内容としては次の3つがある。

1号機能
「継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患にかかる診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能」の有無およびその内容

2号機能
▽通常の診療時間外の診療
▽入退院時の支援
▽在宅医療の提供
▽介護サービス等の事業者と連携して医療を提供する機能

その他
健診、予防接種、地域活動(学校医、産業医、警察業務等)、学生・研修医・リカレント教育等の教育活動等

1号機能の報告事項については「具体的な機能を有すること」と「報告事項」を院内掲示で公表していることを求める。このうち体制については3案が示されている。

「案1」では、かかりつけ医機能に関する研修修了者がいるか、総合診療専門医がいることを公表する。さらに研修充実に取り組み、必要な研修修了者の確保を行う必要があり、それまでの間、かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有 無、総合診療専門医の有無を報告すればよいこととする。

「案2」はかかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、総合診療専門医の有無で、「有無を報告すれば可」とする。
ただし改正医療法施行を5年をめどとして、研修充実の状況等を踏まえ、有無についての報告を改めて検討する。

「案3」はかかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、総合診療専門医の有無で、「有無を報告すれば可」とする。

▼具体的な機能の報告案を示す
2号機能の報告事項で求める各項目では、それぞれの機能に関する具体的な報告事項案も示された。

診療時間外の診療については、自院または連携による通常の診療時間外の診療体制の確保状況、連携して確保する場合は連携医療機関の名称を挙げ、前者の場合は在宅当番医制、休日夜間急患センター等に参加、自院の連絡先を渡して随時対応、自院での一定の対応に加えて他の医療機関と連携して随時対応するといった内容になる。

または、自院における時間外対応加算1~4の届出状況、時間外加算、深夜加算、休日加算の算定状況を報告すれば、「当該事項あり」と見なす。

▼対応力担保の範囲が論点
診療領域についての報告内容については、「診療領域ごとの一次診療の対応可能の有無・いずれかの診療領域について一次診療を行うことができること」にとどめるか、「症状についての患者からの相談の対応可能の有無、いずれかの症状について患者からの相談に応じることができること」を含めるかで、議論が続いている。

対応力の担保をどこまで医療機関に求めるかが論点になっているが、報告内容案を見る限り、「一人開業医」の診療所には手の届かない話になりそうだ。

ひとこと:ケアマネの「本来業務」について

「生活困窮者自立支援法等の近年の改正も横目に見ながら、ケアマネジャーもその一翼を担っていくことができると、それが本当に重要なことではないかなと思いますので、その「本来の」というところを、現行制度を基準にではなくて、今後、そもそもどういうものがケアマネジャーの本来業務たるべきかという観点から、もう一度考えることが重要かなと思います」
常森裕介
東京経済大学現代法学部准教授
~ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会(第3回) 2024年6月24日

今週の数字:41万1000円

2023年度における、医療施設の1平米あたり建築単価。2022年度は40万9000円。2014年度は27万5000円だった。(出典:福祉医療機構「2023年度 福祉・医療施設の建設費について」2024年6月28日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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