社会保障短信(7月4日号)

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トピックス…「新たな地域医療構想」論点を提示
ひとこと…かかりつけ医の育成について
今週の数字…44.9%

トピックス:「新たな地域医療構想」論点を提示

▼調整会議の実効性も議論に
「新たな地域医療構想等に関する検討会」は6月21日、これまでのヒアリングなどで挙がった意見をもとに、「論点案」を示した。構成員からは特に異論もなく、その内容に基づいて議論が進みそうだ。
具体的には、
①入院(病床の機能分化・連携)
②外来医療、在宅医療
③医療・介護連携
④人材確保、⑤医療機関機能、構想区域
⑥地域医療構想調整会議、地域医療介護総合確保基金、都道府県知事の権限、市町村の役割等
――がある。

新たな地域医療構想では病床だけでなく外来、在宅医療、医療・介護連携も対象に含まれ、これを踏まえた調整会議の実効性確保も論点となる。
「協議する内容に応じた市町村単位等での開催、市町村や介護関係団体の参画」「協議すべき課題に増加に伴い、効果的かつ効率的に会議を開催する」ための考え方も、議論になりそうだ。
ヒアリング関係者からはテーマを集中的に議論するワーキンググループや分科会を設置する案も出ている。

▼階層的に体制確保を目指す
目指す方向性と視点・手法も示されている。
方向性では、「地域ごとに在宅医療や医療・介護複合ニーズ等の増加、生産年齢人口に係る医療需要の減少に対して、医療機関等が機能に応じて連携するとともに、介護施設・事業者・住まい等とも連携しながら対応することにより、持続可能な質の高い効率的な医療提供体制を確保を目指す」ことが挙げられた。

地域の医療提供体制にも触れ、
▽身近な地域におけるかかりつけ医機能やそれを支える入院機能
▽より広い区域における二次救急等を受け入れる機能
▽さらに広い区域における三次救急や人材確保等の拠点となる機能等の確保
――など、階層的に地域で必要な医療提供体制の確保を目指す案を示した。

▼全体の将来ビジョンを示す
視点として、地域の医療提供体制全体の将来ビジョン(方向性)をまず示すことを挙げた。
この将来ビジョンを踏まえ、医療機関から現在の役割・機能と将来の方向性を報告して地域で協議を行うとともに、将来ビジョンを実現するためのさまざまな施策を講じることにより、医療機関の役割分担・連携、病床機能の分化・連携等を推進するという。

現行の地域医療構想が病床の機能ごとに2025年の病床数の必要数を推計し、地域での協議を通じて、病床機能の分化・連携を進める形をとっていたが、「病床数の数合わせ」に終始しているといった批判も出ていた。これを踏まえたものとも考えられそうだ。

手法については、国で2040年頃を見据えた地域の類型(大都市部、地方都市部、過疎地域等)ごとの医療需要の変化に対応する区域のあり方や医療提供体制のモデルを示し、かつ地域の協議の参考となる地域診断のデータも用意するという。
また地域医療構想で将来ビジョンを示し、その中で直近6年間の5疾病6事業に関する取り組みを定めるなど、医療計画との関係も明示することを求める。

ひとこと:かかりつけ医の育成について

「やはり全人的な医療の必要性ということ、あるいは多職種連携の重要性ということについては、医師になる段階からの意識づけが重要ではないかと思っておりまして、初期臨床研修で、地域医療研修が4週間ございますけれども、例えば、これを数か月に延長するということも、1つ有効な手段ではないかと思っております」
都竹淳也
岐阜県飛騨市長
~第108回社会保障審議会医療部会会 2024年6月7日

今週の数字:44.9%

山形県における、全病床数に対して公立病院の病床数が占める割合。1万1182床に対し、5025床で、この割合は全国で最も高い。東京は8.3%、大阪は11.3%となっている。(出典:第5回新たな地域医療構想等に関する検討会資料「自治体病院の現状と地域医療構想」2024年5月31日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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