院長婦人はコンサルタント
事務長としての歩みと
時代の流れを振り返る
なんと、連載も9回目となる。気がつけば100回までカウントダウン!今回は改めて、サマンサの自己紹介をば。
サマンサは、新潟県某所でひっそりと眼科診療所を開業した院長を夫に持ち、高度管理医療機器コンタクトレンズ販売をメーンとしたMS法人の代表取締役であり、某眼科であちこち頭をぶつけながら……それでも何とか診療所経営をしている細腕事務長の日々を本稿でつづってきた。
連載開始時は開業して10年ほど経ち、日々の業務をどうにか回せるようになって患者さんも定着してきたあたりだった。落ち着いた半面、スタッフたちも出産など次のライフステージへ次々と進み、産休・育休や代替スタッフの確保などに頭を痛めていた。
特に、視能訓練士は仕事柄、ハローワークへ求人を出せばすぐに見つかる人材ではないので、専門学校で直接リクルートしたり、スタッフの伝手を頼ったり……。また、産休に入る時期と新卒の入職時期が異なるという、如何ともしがたいズレにはホトホト泣かされた。
代替スタッフ問題は毎回綱渡りで、それでも渡り切ってほっとしたら、近隣に競合診療所が進出し新たな不安の種が……。詳細は忘れてしまったが、当時のあらん限りの知恵を絞って対抗策を講じた気がする(喉元過ぎればというのは本当のようだ)。
そして、再度落ち着いたころに、サマンサのミセスコンテスト日本グランプリ、その後の世界大会出場という華やかな1ページが繰り広げられた。さてこれから、この経歴を引っ提げて発信するぞ!ひいては、それが診療所の宣伝にもなる!!と皮算用していたら、新型コロナウイルス感染症のパンデミック襲来。社会活動が停滞し受診控えムードが長く続き、今春、ようやく5類移行で世の中が少し動き出した印象だ。
時の流れは確かに早いし、開業した一昔前以上のスピードで社会のあり方も変化した。たとえば、先日電話帳広告の継続のお願いでNTTタウンページから連絡がきた件。2年ごとに刷新されるたびに10万円単位の費用が発生し、今年がその更新時期だった。
当院が開業した2006年ごろはまだまだ電話帳が公私にわたり活用されていたし、タウンページの医療広告ページに掲載することは広告宣伝の王道で、新規開業診療所にとっては必須だったと記憶している。しかし、現在はそうとは言えない。継続の検討で担当者に上記の旨を伝えたところ、継続費用の半額を提示されたが、いやはやどうしたものか……。
一方で、コロナ禍でIT化が進み、オンライン診療やマイナンバーカードの資格確認に加え、昨今の新規開業では自動精算機も設置する流れと耳にした。当院でも、今回の受付スタッフの産休を受け省人化対策として導入を考えていてこの前、デモ機を見せてもらった。ただ、実際に実物を見たら、費用や大きさはもとより、運用上思うところ満載で……。
タウンページの費用を自動精算機設置へ回すのは時代の流れで致し方あるまい。悩みって、モグラ叩きのように次々と顔を出すものね……。ため息交じりで呟くサマンサであった。(『CLINICばんぶう』2023年8月号)