社会保障短信(6月14日号)

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トピックス…かかりつけ医機能の報告内容案を提示
ひとこと…再検証対象医療機関の医療について
今週の数字…-0.9

トピックス:かかりつけ医機能の報告内容案を提示

▼医療機関の明確化、協議の場、患者への説明
「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」が5月24日に開催され、「各論の検討について」が議題となった。

施行に向けて省令やガイドラインなどで定める必要がある事項として、
①「かかりつけ医機能を有する医療機関」の明確化
②「地域における協議の場」での協議
③「かかりつけ医機能を有する医療機関」の患者への説明
――の3つが示された。

また、かかりつけ医機能が発揮されるための基盤整備、国の支援のあり方などについては、
①地域で必要となるかかりつけ医機能の確保に向けた医師の教育や研修の充実
②地域におけるかかりつけ医機能の実装に向けた連携体制の構築
③医療DXによる情報共有基盤の整備等
――が挙がっている。

▼報告内容の3案を提示
「かかりつけ医機能を有する医療機関」の明確化については、かかりつけ医機能報告の内容案が示された。具体的には、「継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る治療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能」の有無とその内容を、まず求めるという。

具体的な報告事項としては、1号機能として次の3案が示された。

【案1】
一定以上の症状に対して一次診療を行うことができること。一定以上の症状とは「臨床研修の到達目標」(厚生労働省通知)における「経験すべき症状・病態・疾患」の頻度の高い症状35項目のうち、必修項目(不眠、浮腫、リンパ節腫脹、発疹などの20項目)以上

【案2】
①「具体的な機能」を有すること及び「報告事項」について院内掲示により公表していること
②かかりつけ医機能に関する研修の修了者がいることまたは総合診療専門医がいること(人数も報告対象)
③17の診療領域(皮膚・形成外科領域、神経・脳血管領域、精神科・神経科領域、眼領域など)ごとの一次診療の対応可能の有無、いずれかの診療領域について一次診療を行うことができること
④17の診療領域ごとの患者からの相談対応の有無、いずれかの診療領域について患者からの相談に応じることができること

【案3】
①「具体的な機能」を有すること及び「報告事項」について院内掲示により公表していること
②かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、受講者の有無、総合診療専門医の有無(人数も報告対象)

2号機能については、
▽通常の診療時間外の診療
▽入退院時の支援
▽在宅医療の提供
▽介護サービス等と連携した医療提供
――を挙げ、それらの有無と内容を報告する。

▼協議の場は「重層的に」設定
「地域における協議の場」については、圏域は実施主体である都道府県が市町村と調整して決定することとし、協議するテーマに応じて、時間外診療、在宅医療、介護等との連携等は市町村単位で、入退院支援等は二次医療圏単位で協議し、全体を都道府県単位で統合・調整するなど、「協議の場」を重層的に設定することを考慮する案を示した。

さらに協議については、
▽地域の関係者で、かかりつけ医機能についてデータを活用して、地域での確保状況や課題などの認識を共有し
▽地域で目指すべき姿について議論して共有を図った上で
▽当該課題に対する具体的な方策と誰が何を担うのかの役割分担について議論する
――という流れを提案した。

▼4カ月継続時は説明が努力義務に
患者への説明については、自院において、継続的な医療を必要とする人に対して在宅医療や外来医療を提供する場合で、おおむね4カ月以上継続的に医療の提供が見込まれる場合は説明が「努力義務」になるという案を示した。

ただし、説明することで当該患者の適切な診療に支障を及ぼす恐れがある場合は努力義務が免除される案も併記している。

ひとこと:再検証対象医療機関の医療について

「実際に420病院挙げられたところが、では全く医療をやっていないのかというとそういうことではなくて、そういう病院を実際に私たちは分析しましたけれども、分析してみると何が分かるかというと、そういう病院というのは高齢者の内科的な入院を中心にやっているんです。しかも、それを複数の非常に少ないドクターで、少ない人員でやっている病院です。そういうところで必要なのは、恐らく病院総合医なんだろうと思います」
松田晋哉
産業医科大学教授
~第107回社会保障審議会医療部会 2024年3月21日

今週の数字:-0.9

2022年度の、医療・福祉における入職超過率(入職率-離職率)。統計開始以来、はじめてマイナス。つまり離職超過だった。(出典:第4回新たな地域医療構想等に関する検討会資料4「新たな地域医療構想等に関する検討会ヒアリング資料」〈小林由憲・日本在宅介護協会常任理事〉2024年5月27日)

(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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