社会保障短信(5月22日号)
医療・介護福祉など社会保障関連の情報をお届けします。
◆トピックス…マイナ保険証の利用状況を報告
◆ひとこと…構想区域について
◆今週の数字…4%
トピックス:マイナ保険証の利用状況を報告
▼「利用促進月間」実施中
5月15日の社会保障審議会医療保険部会では、マイナ保険証の利用促進などが議題になった。5月から7月は「マイナ保険証利用促進集中取組月間」と位置づけられ、医療機関に対する支援策や国民向け周知策が展開されている。
▼医科診療所、薬局が低調
4月現在のオンライン資格確認の利用状況は、利用件数が1億8439万件。昨年4月と比べて5274万件増となっている。このうちマイナ保険証の利用件数は1210万件で利用率は6.56%。薬剤情報閲覧の利用件数は371万件、診療情報閲覧の利用件数は597万件で、いずれも増加傾向にあることが報告された。
施設別のマイナ保険証利用率は、病院が13.73%、医科診療所が5.87%、歯科診療所が10.91%、薬局が5.71%。利用率が3%未満の施設が占める割合は、全体で36.3%、病院で17.0%、医科診療所で34.4%、医科診療所で34.4%、歯科診療所で20.6%、薬局で50.3%。施設によって利用状況に差が生じており、病院、歯科診療所に比べて医科診療所、薬局が低調であることがうかがえる。
都道府県別の利用実績も公表しており、全体では鹿児島(10.8%)、富山(10.5%)、石川(10.1%)が上位3位になっている。
▼紐付け不備の防止策も用意
また紐付けの仕組みについては、全ての登録済みデータ1.6億件について、住民基本台帳との突き合わせが昨年11月に完了、確認が必要な約139万件については閲覧を停止し、保険者などによる確認作業を実施、これも今年4月に終了したという。
また今後の新規加入者の登録時に、全てのデータについて住民基本台帳情報とのシステムによる突き合わせを実施する。資格取得届における個人番号等の記載義務を法令上明確化し、やむを得ず保険者が住民基本台帳情報を取得して加入者の個人番号を取得する場合には、必ず漢字カナ氏名、生年月日、性別、住所の「4情報」により照会を行うことも明確化した。
▼医療機関への一時金を用意
5月から7月の「マイナ保険証利用促進集中取組月間」期間中は、医療機関への一時金支給制度が設けられている。期間内における利用人数の増加量に応じて、診療所、薬局は最大10万円、病院は最大20万円を支給する。
2023年10月の利用人数・利用率と比較して支給されるもので、たとえば診療所、薬局では、2023年10月の利用人率が3%未満で、利用人数が30人以上増加した場合は3万円、80人以上増加した場合は10万円などとなっている。
支給条件として窓口での共通ポスターの掲示と来院患者への声がけ、マイナ保険証の利用を求めるチラシの配布などを定めている。オンライン請求時のポップアップアンケートなどで確認するという。
▼診療報酬でも呼び水の加算
2024年度診療報酬改定では「医療DX推進体制整備加算」が新設されている。要件としては
①マイナ保険証での取得情報を診察室で使用できる体制
②マイナ保険証の利用勧奨の掲示
③マイナ保険証の利用利実績が一定程度以上であること(10月から)
④電子処方箋を発行できる体制(薬局は受け付ける体制)
⑤電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制(10月から)
――などがある。
ひとこと:構想区域について
「多くは医療圏がイコール構想区域だと思います。まさに人口が数万しかいない医療圏から、大阪のように二百何十万人の医療圏が1つの区域であるということに関してはちょっと異常であると思わざるを得ない。ここはやはりきちんと基準を示して、構想区域はこれだけの人口規模とか、あるいはこれだけの社会面積とか、そういうものを決めるべきではないかと思います」
神野正博
全日本病院協会副会長
~2024年3月21日 第107回社会保障審議会医療部会
今週の数字:4%
2043年における、78~80歳男性の認知症発生率予測値。2016年では17%。背景として高卒以上の人の比率が高まることを挙げている。認知症と虚弱の併存有病率において、学歴格差が見られたという。女性も同様の傾向があり、全年齢的に認知症の発生率は低下すると予測している。(出典:第3回新たな地域医療構想等に関する検討会資料「後期高齢者の急速な変化を織り込んだ将来の医療福祉施設の需要予測の必要性 国際医療福祉大学 高橋泰」2024年5月22日)
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)