資金難を乗り切る! ―「介護報酬ファクタリング」
Vol.2
保有債権を有効活用し 経営の足腰を強化する

エネルギーコストや人件費の高騰、融資の返済負担など、中小介護事業者の経営環境は厳しさを増すばかり。キャッシュの流出を懸念し、事業拡大に一歩踏み出せない経営者もいるだろう。いずれにしても、事業の継続・成長は大きな課題であり、そのためには資金調達などを通じた経営の安定化が求められる。 こうしたなか注目を集めているのが、介護報酬を活用して早期に現金化する「介護報酬ファクタリング」だ。連載2回目は、同サービスの概要やメリット等について解説する。

介護報酬の売掛金を活用し
早期に現金化するサービス

リコーリース株式会社 BPO本部 決済営業課 石田直也氏の顔写真

リコーリース株式会社 BPO本部 決済営業課 2グループリーダー アシスタントマネージャー 石田直也氏

前回は、コロナ禍に伴う特例融資の終了や返済開始、エネルギーコストや人件費の上昇により、中小介護事業者における資金繰りの重要性が高まっていることを述べました。こうした状況下で注目されているのが、介護事業者向けの資金調達サービス「介護報酬ファクタリングサービス(介護報酬ファクタリング)」です。

ファクタリングは一般債権にも用いられるスキームで、売掛金をファクタリング会社に売却して現金化するというもの。これを介護の報酬債権に当てはめたのが本サービスであり、最大の特徴は早期の資金化です。
ご存じのとおり、現行の介護保険制度では、国民健康保険団体連合会(国保連)から介護報酬を受け取るまで約2カ月かかります。対して介護報酬ファクタリングでは、介護報酬(債権)をファクタリング会社が買い取り介護事業者に支払うことで、介護保険給付費を早く受け取ることができます(図表)。

介護報酬リファクタリングの流れ

なお、支払いのタイミングは2回あり、当社の場合は介護保険給付費請求締切日から最短5営業日で給付費請求額の80%を上限として前払いし、残額は翌月の国保連からの給付費支払い(入金)日から3営業日後に支払います。医療業界では資金調達の一手段としてすでに活用されており、介護業界でも介護保険制度が施行された2000年にサービスが始まり、事業者数の増加とともに普及が加速しました。当社のサービスも直近増加傾向にあり、単月での前払い取扱高は約70億円にのぼります。

開設時だけでなく
事業拡大時の運転資金として

利用していただくシーンは大きく分けて3つあります。1つ目は、開設当初の運転資金として、翌月に発生する人件費などの支払いに充てるためにご契約いただくケースです。

2つ目は、開設から半年~1年の事業所による利用です。近年であればコロナ禍により事業計画どおりの稼働率にならず、運営に苦労したケースが多かったと聞きます。金融機関から調達した資金も減り続けるなか、経営状況が良くないので追加融資は受けられず、打開策として介護報酬ファクタリングを導入いただく事業者は少なくありませんでした。介護事業は景気の影響を受けやすく、経営の一時的な沈みを支えるための有効な手段といえるでしょう。

3つ目は、事業拡大時の運転資金としての利用です。たとえば、デイサービスの場合、施設定員が決まっているので売上げに上限があり、収益を拡大するには拠点を増やすしかありません。リハビリ特化型の施設だとトレーニング機器が必要になりますが、その際に設備投資のための資金は金融機関に頼り、日々の運転資金は介護報酬ファクタリングを活用し経営の安定化を図るわけです。資金調達といえば融資をイメージしますが、ファクタリングも使うことでその手段を複線化できます。

借入れではなく、事業者の保有債権を有効活用するサービスであるのも特徴です。導入により負債を背負うわけではなくバランスシートの悪化も招かないので、金融機関などの与信枠温存にも活用できます。審査によって諸条件付保の可能性もありますが、原則として連帯保証人や担保も不要なので導入しやすく、一定の審査はあっても銀行などに比べるとハードルが低いのもメリットです。なかには、普段の資金繰りに問題はないものの、施設設備や送迎車の故障、自然災害の被災など、突発的な資金需要に備えて契約を結ぶ事業者もいらっしゃいます。

資金繰りの最終手段ではなく
事業の継続・成長に役立てる

「金融機関から融資を受けられない事業者の最終手段」「手数料が高い」など、介護報酬ファクタリングに対してネガティブな印象をお持ちの方もいらっしゃいますが、決してそうではありません。
当社のお客様の場合、拠点を増やすなど事業の成長に充てたい、手元キャッシュをもつことで事業の継続性を高めたいなど、ポジティブな理由で導入いただくことも多くあります。金融機関から、融資実行までのつなぎとして現金化を急ぐお客様をご紹介いただくこともあります。

手数料率は各社で異なりますが、当社の手数料率は1%~と非常に安価な設定となっています。法人規模も問わず、請求金額に縛りも設けていません。介護業界で飛躍したい方をサポートしたいという考えもあり、決算が出ていない新設法人にも対応しています。5年契約を基本としていますが、その間に追加の書類手続きはなく、中途解約も可能です。

また、手数料をいただく対象となる前払い時の介護保険給付費請求額の割合は10%から80%の間で調整できるので、あえて下げておき手数料を抑えることもできます。

事業拡大時の運転資金が必要、手元資金を確保したい、キャッシュは潤沢にあるが有事に備えたいなど、事業所の経営状況と照らし合わせてご利用を検討し、気軽にご相談ください。
(取材・文/大正谷成晴)

● COMPANY DATA ●
リコーリース株式会社
東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニ ガーデンコート
TEL:03-6204-0672 (BPO本部 決済営業課)

介護報酬ファクタリングサービスについてはこちらから

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