“その人らしさ”を支える特養でのケア
第63回
〝短時間で効率よく〟をキーワードに
普段の業務手順を見直そう
年度末は、個人的に設けた仕事のやり方を見直す時期にしています。これまでも本連載では仕事の効率化について触れてきました。今号は“短時間で効率よく”仕事をするために行っている工夫を紹介します。
「めんどう」「手間」が見直しの対象
以前も紹介しましたが、私の業務整理は「めんどくさいなぁ」「二度手間だぁ」と感じることの洗い出しから始めます。几帳面な性格の方は、こんな気持ちになることは少ないかもしれません。そんな方は「やっているけど出番が少ないこと」「念のためにやっていること」を見直すといいと思います。
一例として、記録について整理してみましょう。当施設では全職種が共通の記録システムを使っていることは前号で紹介したとおりです。以前は、栄養課でも同様の内容を記録していました。これは、「“念のため”栄養ケア・マネジメントの記録をまとめておいたほうがいいかな」と思っていたからです。もちろん、何かの時(たとえば運営指導など)に栄養ケア・マネジメントの記録が一カ所にまとまっていると確認しやすい、という利点があります。
しかし、さまざまな業務を行っていくなかで、もう一度別のところに書く、という作業がだんだん“めんどう”になってきました。運営指導についても介護記録に残している内容を説明すると「問題なし」(県によって違うかもしれませんのでそれぞれご確認ください)であったため、別に栄養課で記録を残すことはやめました。現在は、記録が電子化されたことで、栄養管理に関連した記録の抽出が楽になり、業務時間短縮につながっています。
まずは1日の流れからルーティン化を図ろう
業務の効率化で意識していることは2つ。「ルーティン化」と「タスク管理」です。まずはルーティン化について説明します。
私の1日の業務の流れはだいたい決まっています(図1)。そうやって順番を決めておかないと、“なんとなく”時間が過ぎてしまうからです。
皆さんも明確な順番は決めていなくても、だいたいこのリズム、と感じるところはないでしょうか。きっちり1日の流れを決めることはできなくても、たとえば、「通常は14時頃から1時間くらい事務仕事に集中できる時間がある」のならその時間帯に事務仕事を集中してやると決めてしまえば、それ以外の仕事はほかの時間に、という流れができます。
1日の流れをルーティン化したら次は1週間、1カ月と期間を延ばしてみましょう。同じような日々の業務でも、何かしらのリズムがあるはずです。
私の1週間の流れは図2のとおりです。もちろん、出勤や休暇に変動はありますし、曜日に関係なく会議やカンファレンスが入りますが、おおまかな流れはだいたい決まっています。1週間の流れがおおよそ決まっていると、休暇の調整もしやすくなります。
図3は1カ月のおおまかな流れです。ケアプランやLIFE(科学的介護情報システム:厚生労働省に提出する)の送信データの確認など、締め切りが決まっているもののほか、定例の会議などを軸にその準備やその後の対応などを調整しています。
月初に担当者会議等の予定がわかるので、アセスメント、プラン作成のあとに同会議でコメントする内容を栄養課の記録へメモしています。この事前準備は、言い忘れ防止やプラン作成時の思いを残す目的もあります。
一目瞭然のタスク管理を心がける
続いてタスク管理のことです。気になることに意識が集中してしまって、ほかのことを失念してしまったという経験がある方もいらっしゃると思います。ちなみに私は整理整頓が大の苦手。大事なことを忘れたりやり忘れたりすることがありました。
その頃は、やるべきことやスケジュールを手帳と卓上カレンダーと予定表……と、複数の場所で管理していました。その結果、手帳には書いたけれど、カレンダーには書き忘れた、といったことが重なって、どこに書いたのかを思い出したり探したりする手間が出てきました。また、やるべきことをメモしていた場所を確認しなかったせいで大事なことを忘れる、締め切りギリギリで取りかかるため落ち着いて仕事ができず完成度が低い、といったことも起こりました。
そこで予定を書き込むのは一カ所と決め、業務で使いやすそうなスケジュール帳を準備しました。会議などの時間が決まった予定、その日に行う業務、仕事の締め切り(だいたい期日の1週間前に記入しています)、打ち合わせの簡単な内容など、とにかくメモをとる時は全部そこへ書くことにしています。
また、LIFEの活用が始まったことでデータ登録の締め切りが設けられました。栄養ケア・マネジメントに関連した業務の流れも計画的に行わないと月末が大忙しになってしまうことを経験し、現在はミールラウンドの記録表を栄養ケア・マネジメント業務の進捗管理表としても利用しています(図4)。
かぎられた時間で業務をこなす方法を
夕方は預け先へ子どもを迎えに行くため残業は難しい状況です。そして、家ではなかなか仕事ができない。したがって、効率よく短い時間でやるべきことを終わらせる、ということは出産後から今でも、仕事上で意識していることです。
忙しい時は昼休み返上、なんてこともありますが、必要な業務に絞り、うまく行かなかったらすぐにやり方を変更し、現在はスムーズに仕事ができています。
次の目標は、ゆっくりとWebセミナーを受講する時間をとることです。(『ヘルスケア・レストラン』2023年3月号)
特別養護老人ホーム ブナの里
よこやま・なつよ
1999年、北里大学保健衛生専門学校臨床栄養科を卒業。その後、長野市民病院臨床栄養研修生として宮澤靖先生に師事。2000年、JA茨城厚生連茨城西南医療センター病院に入職。同院の栄養サポートチームの設立と同時にチームへ参画。管理栄養士免許取得。08年、JA茨城厚生連茨城西南医療センター病院を退職し、社会福祉法人妙心福祉会特別養護老人ホームブナの里開設準備室へ入職。09年、社会福祉法人妙心福祉会特別養護老人ホームブナの里へ入職し、現在に至る