院長婦人はコンサルタント
第81回
久々の受付業務の刷新
業務の可視化がキモ

長月お月見の候、ススキではな当院植栽の雑草は伸び放題……。昨年、暑さを押して草取りをしたら、(気をつけていたにもかかわらず)熱中症になってしまって以来、どうにも怖い。しかし、どんなに接遇対応がよくても、周辺が草ボーボーでは、いただけない。

話は変わって、実はお盆明けごろ、久々に口コミ投稿で待ち時間の長さを指摘された。以前にそうしたお叱りの口コミがあったあとは、受付スタッフと相談して混雑状況によっては連絡先をお聞きして外出していただくように促した。コロナ禍では、来院時に体調と体温を記入いただく用紙に連絡先も記入してもらい、順番が近づいたら当院から電話を入れていた。
これでだいぶ改善されていたはずだが……またしても、事務スタッフに関してのクレームだった。正直「またかよー!!」って怒りがわいたが、放っておくこともできず、かといって「自分たちで改善に向け知恵を絞ってください!」と自助努力に期待するだけともいかず……。今回は、がっつりサマンサが介入することにした。
まずは、個々の患者さんの来院時間と会計時間を「○時○分来院、×時×分会計」という感じで出させた。そして、個々の会計対応(会計と次回予約案内)に何分かかったかも、1週間分出してもらった。さらに、受付の役割である、①来院受付、②入力、③会計――の動線をそれぞれ確認した。
すると、午前9時台の予約患者さんがほぼ9時前に来院することが判明。予想どおり、10時台の前半は来院受付と、10時台後半からは会計業務が重なっていき、11時台になれば、ほぼ会計中心になってくる。こんな感じで、時間帯ごとの患者さんの流れを可視化することでかなり客観的になった。
キモは、入力担当が時間によって来院受付担当へサポートに入るパターンと、入力後に会計サポートに入るパターンの臨機応変な見極め。性格的なものなのか暗黙の了解なのか、受付スタッフってそれぞれの役割を固定しちゃって、なかなか他の役割に手を出さない。柔軟性がない……。能力不足と言っしまえば身も蓋もないが。
これだけ労働人口が少ないと言われている昨今、小さな診療所に来ていただけるだけでも感謝しなきゃいけない、重々わかっている……。ゆめゆめ「雇ってやってる!」なんて考え方はNG!

午前11時台になれば、メーンとなる会計&予約案内を、会計担当に加え入力担当も入る。そして、混雑の様子を見て受付案内担当は次の日のカルテ準備に入る。なぜか当院受付スタッフは、次の日のカルテ出し&準備にエネルギーを注ぎ、患者さんを見ていない気がしていた。
多分、紙カルテをカルテ庫から出して2号用紙にハンコを押したりするのって、何となく“仕事した感”があるのでついつい優先しちゃったんだろうね……。それって本末転倒。
だから今回はあえて「11時半までは翌日のカルテ出しをしない」ってことにした。単純だと思われるけど、これくらいはっきり言わないと伝わらないんだな……。

さて、これで様子を見たらどんなふうに変わっていくのか!?サマンサの格闘は、次回へ続く。(『CLINICばんぶう』2022年10月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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