2022年度改定で新設の在宅加算の状況を報告

医療業界のトピックスをまとめています、是非ご覧ください。今回のテーマは主に総会・診療報酬改定結果検証部会についてです。

■在宅療養の報酬算定を調査

中央社会保険医療協議会(中医協)は3月22日、総会・診療報酬改定結果検証部会を開いた。このなかで「令和4(2022)年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和4年調査)」の結果が報告されている。

調査項目は▽在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護、▽精神医療等、▽リフィル処方箋、▽後発医薬品の使用促進策の影響、▽明細書無料発行――の5つ。
このうち、在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護では、在宅療養に関する診療報酬の算定状況が取り上げられている。

在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院、訪問診療を行っている在宅療養後方支援病院などから無作為に抽出した2653施設を対象に実施した。調査期間は2022年12月~2023年1月。

■外来在宅共同指導料はほぼゼロ

2022年度改定で新設された「外来在宅共同指導料1・2」や継続診療加算が見直されて設けられた「在宅療養移行加算1・2」の算定回数などを報告した。

「外来在宅共同指導料」は外来において4回以上、診療を受けている患者で、在宅での療養を行う患者を対象に1人1回、算定できる。2022年5~10月の算定実人数を調査したところ、在宅での療養を担う医療機関が算定する「同1」は回答施設404で平均値0.0、外来医療を担っていた医療機関が算定する「同2」は同399で平均値0.0だったという。

「同1」について算定していない理由を尋ねたところ、「該当患者の紹介がなかった」が60.6%だった。そのほか、「算定の意向がなかった」が17.3%、「当該点数について知らない」が8.7%、「紹介元医療機関が共同指導を望まなかった」が2.0%などとなっている。

「同2」については、「当該点数について知らなかった」が39.3%と最多で、「患者が共同指導を望まなかった」が24.6%、「算定の意向がなかった」が11.8%、「紹介先医療機関が共同指導を望まなかった」が7.3%、「在宅患者は自分の医療機関で診療するため」が4.3%と続く。

■24時間の往診体制が課題

「在宅療養移行加算」も同様の期間を対象に調査している。

「同1」はそれまでの継続診療加算と同じ施設基準で、

▽24時間往診体制および24時間連絡体制を有する
▽訪問看護が必要な患者に、訪問看護ステーションが訪問看護を提供する体制を確保する
▽自院または連携医療機関の連絡担当者氏名などを患者・家族に文書で提供する

――などとなっている。
調査結果によると、算定実人数が回答施設数181で平均1だった。「同2」は「同1」の施設基準から24時間往診体制を差し引いた内容だが、算定人数は回答施設数178で平均値は0.1だった。

「同1・2」を算定していない理由を尋ねたところ、「24時間の往診体制の確保ができない」が全体で23.1%と最も多く、内訳は在宅療養支援病院でない病院で50%、在宅療養支援診療所ではない診療所では43.5%だった。

また「当該加算の算定対象となる患者がいない」が全体で22.5%。機能強化型在支病で25%、機能強化型在支診で43.3%、機能強化型でない在支病で41.7%、機能強化型でない在支診で28%となっていた。

■「対象患者がいない」も一定割合

「外来在宅共同指導料」「在宅療養移行加算」とも算定しない理由として、「対象になる患者がいない」が一定割合を占めている。2024年度改定でも厚生労働省は在宅療養を後押しする姿勢を堅持するようだが、医療現場の実情や意識づけへの目配せも求められそうだ。

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