院長婦人はコンサルタント
第76回
新年度到来も、経営的にはいまだ寒々しい時期が続く
2022年度が始まったが、おかげ様で、日々淡々と業務をこなせている。出入り企業のMRにもこのたび異動・転勤する者もいてその挨拶を受けることも。
ここ数年は、コロナ禍もあり企業も従業員の異動を控えていたが、昨秋あたりから再開された印象である(新卒入社以来、当院の担当だった某製薬会社のMRもプライベートでやっと春がきた矢先に、異動になったと嘆いていた)。
また、4月中旬に退職予定のスタッフも、それまでの期間は居心地悪そうに勤務している。改めて思うが、退職が決まると本人も気持ちが途切れるし、周りのスタッフも距離を取り始める。本人たちは無自覚だろうが、客観的に見てもわかるくらいなので、「気持ちって正直だなぁ……」と再認識。
ましてや今回は、同じ診療圏内で新規開業する診療所に移りたいという理由なので、なおさらだ。キャリアアップを願っての決断だが、キャリアダウンにならないことを願うばかりだ。
よって1カ月間、引き継ぎも兼ねた余剰人員体制だが、不幸中の幸いで他の検査スタッフの子どもに新型コロナウイルス感染症の陽性が判明し、家族も濃厚接触者で自宅待機の憂き目となった。感染にともなう諸連絡を待っていたが、地方都市のひっ迫した保健所では人手が回らない結果、陽性者とその濃厚接触者への連絡は後手に。当院が通常の勤務体制であれば、当然減った人員で長期間耐え忍ばなければならなかったが、今回は、前述のとおり余剰人員体制だったのでどうにか支障なく過ごせた。
とはいえ、今後、複数人のスタッフに陽性者、濃厚接触者が出た場合はどうしよう……。どう考えても、通常の診療体制は難しいよね……。最悪、院長さえ無事なら検査を最低限に絞って診療を組むしかない。ただでさえじわじわと減収が続いているというのに、検査数減による医業収益減という事態を招くのは嫌だわぁ~。
今回の診療報酬改定も、正直言ってうまみなし。コロナ禍で地区医師会主催の全体説明会も開催されず、各種関連セミナーもアンテナに引っかからず……。そのなかで、「外来感染症対策向上加算」は気になって調べたが、現段階ではいったん見送ることに。
地方厚生局長への届出書式もまだ定まっていないということだが、当院ばかり出遅れるのは嫌だと思い、MRに近隣診療所の情報を探ってみた。やはり、現状、新潟県内で算定希望診療所はないとのことだった。そもそも、感染症発生時発熱患者の外来診療等を実施する完璧な体制を、当院は有していない。
リフィル処方箋も、院長と相談したが当院の診療スタイルになじまないということで当面使わないし、オンライン資格確認システムもまだ半ばの当院にとって、「電子的保健医療情報活用加算」の算定は厳しい。こうした情勢に合わせ診療スタイルを再構築すべきなのだろうが、お恥ずかしながら追いつけていない状況だ。
こうして徐々にゆでガエルになり、気づけばガラパゴス化するのだろうな……。考えただけでも恐ろしいので、できるところから少しでも着手しよう!と、気持ちを新たにするサマンサであった。(『CLINICばんぶう』2022年5月号)