制度と経営に強くなる!
あなたの介護事業を30年継続事業に
するためのストーリーづくり[2]
介護事業所のリーダーが、今、知っておくべき知識を、業界に精通したC-MASのプロフェッショナルが伝授
吹けば飛ぶ事業は「吹かせない」ための工夫を
失礼な言い方が含まれますが、小さな事業を選択するということは、「吹けば飛ぶ」事業を、誰にも「吹かれないように」継続していくとても難しい選択なのです。吹けば飛んでしまうのだから、他社に吹かれないようにしなければなりません。では、どうすればいいのか?
それは、「模倣されないようにする」です。
大手は常に新規事業参入を狙っていますから、儲かりそうな事業にはすぐに手を出してきます。資本力があるので失敗しても大丈夫です。どんどんいろいろなものにチャレンジして、ダメそうならどんどん撤退するというのが大手のセオリーです。したがって、「儲かりそう」「面白そう」というビジネスは、大手に限らず他社に模倣されやすいため、価値ある事業を展開しているだけでは大手に飲み込まれてしまいます。
そこで、しっかりと「儲けられて」かつ「面白い」ビジネスを、どのように模倣されないようにしていくかということが大事です。
そうです、この答えが「ストーリー(意味)」なのです。
サービスは模倣できてもストーリーは模倣できない
そのサービスから享受する便益(便利さ)は、そのサービスと同じものを他社で利用しても受けることができます。しかし、その特定のサービスが発するストーリーがきちんとお客様に伝わるようになっていれば、お客様があなたの会社のサービスを利用する目的が一つ追加されます。それは、「ストーリー(意味)」に共感するという感情です。
お客様はサービスそのものだけでなく、たとえば、
- その石鹸に込められている天然由来の物語に共感したAさんは、その石鹸を利用することで、その共感した物語に自分自身のライフスタイルを触れ合わせることで自己承認を行える
- Bさんはそのレストランで提供されるおいしい食事を楽しむだけでなく、誕生日や結婚記念日を思い出のレストランで祝うという体験ができる
与えられたストーリーに触れたいから、あなたの会社のサービスを継続的に利用したいと感じるのです。そしてそのストーリーは他社が簡単に模倣しようと思っても模倣できるものではありません。
そのサービスのストーリーや意味は、受け取る人により感じ方は異なるので、外から模倣することができないのです。このことを、アップル社を例に紹介している書籍を紹介しましょう。
例えばアップルという会社の製品や機能を、表面的にコピーすることくらいはいくらでも可能でしょうが、アップルという固有のブランドが顧客に対して与えている感性価値としての「意味」はコピーすることができません。なぜなら「意味」の形成には膨大な情報量が必要であり、膨大な情報量を市場に蓄積するためには非常に長い時間がかかるからです。アップルというブランドが持っている固有の「意味」は、1970年代の末からアップルとその創業者であるスティーブ・ジョブズという人物が、世界に与え続けてきた情報の蓄積に支えられて形成されています。(引用:『ニュータイプの時代』山口周 著/ダイヤモンド社)
ここで一つ注意が必要なのは「そうはいっても、周りには小さな事業で他社と同じものを売っていて創業30年を迎えた企業もあるよ」というご意見です。確かに、今まではそのスタイルでも一つのビジネスはきちんと成立していたのです。私のお客様でも介護事業だけではなく新聞屋さんや八百屋さん、不動産屋さん、建設屋さん、IT企業など一つのビジネスで、一つの場所で、一つのモノを売って、創業30年以上続いている方は少なからずいらっしゃいます。しかし、その理屈が通じるのは今までの事業環境までです。理由は前回の連載でお伝えしたポケモンGoのお話です。今までの事業環境とこれからの事業環境は、まったく違う時間軸のうえでの比較となるということを理解したほうがいいです。
私たち中小企業は、ビジネスモデルにストーリーを与え続けながら、自分たちのストーリーに共感してくれるお客様をみつけていかなくてはなりません。それでは最後の連載では、このストーリーをいかにしてお客様に伝えていくかのコツをお伝えしたいと思います。(続く)(『地域介護経営 介護ビジョン』2022年2月号)
横溝大門
よこみぞ・だいもん●税理士法人横溝会計パートナーズ代表。公認会計士・税理士。1980年生まれ、東京都国分寺市で介護経営支援に注力しており、サポートしている介護経営事業者は30社を超える。2021年4月より開始したサービス「となりのブレイン」は、経理代行サービスと経営コンサルティングサービスを活用して、中小企業の成長に欠かせないサポートをパッケージングしたサービスとして注目されている
税理士法人 横溝会計パートナーズ | ||
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