第12回
「働き方改革」よりも先に病院経営側の意識改革を

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「医師の働き方改革」に待ったをかける要望書

3月半ば、日本医師会(日医)と四病院団体協議会(四病協)、全国有床診療所連絡協議会は連名で、「医師の働き方改革に関する要望書」を、後藤茂之厚生労働相に宛てて提出した。

要望書ではまず、働き方改革の課題の1つとして、医療機関では医師の「宿日直許可」(労働時間の適用除外)を取得できない状況にあると主張。
医師の宿日直には

①救急外来、入院患者対応といった気を張り詰めた業務が一定程度発生する
②宿日直中であっても、応招義務があるため対応しなければならない
③多くの医療機関が自院の医師だけでは対応できず大学病院からの応援に依存している

などの特殊性があるとした。

続けて、現状の許可基準のままで罰則付きの時間外労働の上限規制、勤務間インターバル規制、連続勤務時間制限が導入されると

▽上限規制を遵守するために医療提供体制を縮小
▽大学病院からの応援で成り立っている地方の医療機関では、通算の上限時間超過を懸念する大学病院から医師を引き上げられ、医療提供体制を縮小
▽大学病院の医師が離職して処遇のよい一般病院に移る動きが起こる。これにより、大学病院の診療、研究、教育の質の確保が困難

といった事態が起きると懸念。宿日直許可基準について以下を要望している。

【宿日直許可自体の判断基準】
①各々の医師について、宿直時の睡眠時間が十分でない日(例:睡眠時間が6時間程度に満たない日)が月に5日以内であれば宿日直許可を認めていただきたい。
②宿日直中に救急等の業務が発生する場合でも、その業務時間が平日の業務時間と比べて一定程度の割合に収まっていれば、宿日直許可を認めていただきたい。
③特にローリスクな分娩が主となる産科医療機関では、分娩数にかかわらず宿日直許可を認めていただきたい。ハイリスクな分娩を扱う産科医療機関においては、宿日直中の分娩等の対応が月8〜12件程度であれば宿日直許可を認めていただきたい。

【宿日直許可の回数等】
①医療機関における各医師の宿日直について、宿直を月8回、日直を月4回まで認めていただきたい。
②上記の宿日直回数については、他の医療機関に宿日直の応援に行く医師の場合、派遣元と応援先の宿日直回数をそれぞれ分けて取り扱うこととしていただきたい。
③各々の医師の連日の宿日直について許可を認めていただきたい。

【行政の対応】
医師独自の宿日直許可基準を明確化し、対応の統一を図るとともに、実態に合わない判断が出された場合、厚生労働省に相談できる窓口を設置することをお願いしたい。

【罰則規定の取り扱い】
全国の医療機関が新型コロナウイルス対応に全力であたっており、働き方改革に取り組める状況にないことから、時間外労働の上限規制の罰則適用を数年猶予いただくようお願いしたい。

おそらく、あくまで病院経営者の視点でモノを言っているのだろう。できるだけ「これまで通り」にして欲しいとし、一方で、医師の働き方改革を全くの骨抜きにしようと意図しているとしか思えない要望だ。
宿日直許可基準を変えるのではなく、本来は経営環境を変革していかなければならないはず。そこに大きな違和感を覚える。
(文/ヘルスケア・マネジメント.com)

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