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介護事業所の“差別化”に思うこと

介護事業所のリーダーが、今、知っておくべき知識を、業界に精通したC-MASのプロフェッショナルが伝授

その差別化は、真の差別化になっていますか？

さまざまな介護経営者の皆様と意見交換を行うなかで、特に最近になって頻繁に耳にするキーワードだとあらためて感じているのが、“差別化”という言葉です。

「今後、生き残っていくためには、他社とは異なる“差別化されたサービス”を生み出していかなければならない」
全くもって反論の余地のない、100%“正解”といえるご意見だとは思います。
一方で、この“差別化”というキーワードをさらに深めるうえで、是非エッセンスとして加えていただきたいポイントがあります。それは、「その“差別化”は、ほかの会社から見て“真の差別化”になっているのか。換言すれば本当に“模倣不可能”あるいは、“模倣するのに相当な時間を要する”ものになっているのか｣という視点です。

たとえば、ユニークな取り組みやアイデアを思いついたとします。「こんなサービスはうちの地域にはない｣「これこそうちの“差別化”戦略だ!」と心躍ったとしても、他社(者)が容易に模倣できるようなレベルのものであるならば、その“差別化”は恐らく短命で終わってしまうことになるでしょう。

自社らしさを見つけることが差別化への第一歩

もちろん、ファーストランナーとして走ることに対して、意味がないとは決して言いませんが、仮に(少々言葉は悪いですが)“先行逃げ切り”を狙うとするなら、地域の中で“圧倒的なブランド力”を構築するための“圧倒的なスピード感”が求められます。
そのようなスピード経営を、経営資源を豊富に持たない中小企業が実現しようと考えるのは、想像以上に“至難の業”ともいえるのではないでしょうか(あくまで一般論としてではあります。手法の工夫を含め、実現できる法人もあろうかと思いますし、SNSの発展など、今の時代は昔に比べて遥かに実現しやすくなっているという側面は確かにあろうかと思いますが……)。
“差別化合戦”ともいうべき消耗戦に経営資源を投じるよりも、もっと思考を深めながら、“自社らしさ(もしくは、自社だからこそ実現可能だと思えるストーリー)があり”、“簡単に模倣できない”要素をどこに見出すのか、あるいはどう構築していくのかを考え抜く方が、遥かに未来の存続・発展を担保できるのではないかと、私見ながら感じる次第です。

豊富な経営資源を持たない中小企業にとって、自社の経営資源(資金､職員の時間、経営者の時間etc.)をどこに投下するかは、未来の盛衰を決する分かれ道になります。もし今、“差別化”というキーワードが頭の中にある皆様は、是非上記視の点に基づいて、さらに自身の思考に“味付け”を行っていただきたいと思います。（『地域介護経営 介護ビジョン』2021年3月号）

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