院長婦人はコンサルタント
第70回
引き始める新型コロナの波と
押し寄せるデジタル化の波

10月になり、朝晩はひんやりとしてきた。診療受付終了の18時には周囲が真っ暗になり、秋の深まりを感じる。眼科もお暇モードになり、受付終了時には患者さんがいない日も出てきた。

お盆すぎから当院で実習中の視能訓練士の学生も、落ち着いてスタッフからいろいろと実践的なことを学んでいる。新型コロナウイルス感染症の第5波真っ只中、サマンサのミセスコンテストも無観客開催を余儀なくされたなかで学生の受け入れに一抹の不安を感じていたが、今ではすっかり落ち着いて一安心。

当院では、数年ごとに県内の視能訓練士養成学校から実習生を受け入れてきたが、今回は“大当たり”。素直で明るくスタッフともすぐになじみ、習得力も高く今後の活躍が楽しみな人財だ。
ぜひ当院で就職をお願いしたいところだが、本人は病院勤務希望だし、そもそも、当院にも受け入れる余裕がない……。診療所とはいえ、やはり個人事業……。何だかんだいっても、所詮は小規模事業。毎年定期雇用する余裕はなく、ちょっぴり切なさを感じる。

さて、第5波も落ち着いた流れを受け、来院時の問診も更新。ワクチン接種を「未接種」「1回接種済み」「2回接種済み」の3項目から○で囲ってもらうパターンに変えた。
また、会計時の患者さんへの注意喚起案内は、「次回予約時に新型コロナに感染している、濃厚接触者になった場合はご連絡ください」に変更。少し前まで「新型コロナに感染しましたか?」なんて聞けば、高齢患者さんは全力で否定していたが、今では至極当然という感じであっさりしたものだ。

コロナ禍でデジタル化の推進が迫られているが、当院はまだまだアナログが主流(インフラ的にそういった診療所多いと思うけどね……)。一方、9月1日にはデジタル庁が発足した。自分ごとで考えると、サマンサ的には例のオンライン資格確認が思い浮かぶ。
今年10月20日から運用開始だが、お恥ずかしながらまだ準備不足。正直に言おう、サマンサはまだマイナンバーカードもつくってない(院長とて同じである)。来院患者さんを見ても、紐づけ済みとは思えず、いまだに公衆電話のニーズがあることからも、デジタル化にはほど遠い感は否めない。

運用されても公費負担は従来どおり紙ベースの確認だし、資格過誤によるレセプト返戻は当院そんなに多くない……。唯一、限度額情報の取得が容易になるくらいかな。窓口での資格確認が簡素化されるため待ち時間が短縮するということは、当院のようなレセコン使用機関は、予約患者さんの情報オンラインで事前チェックする必要があるってことで……、つまり、事務さんのお仕事が増えるってことだよね。患者さんのメリットは、お薬情報の一元化かな。
あとは、個人情報保護とその管理の重要性をスタッフ一同に共有し、患者さんにも周知しないとね……。医師や看護師検査関係者、薬剤師等々にオンライン資格確認を伝えなきゃ……。そこまでやらなければならないのだろうか?あるいはいっそ、時代の流れに逆行してガラパゴス化しようかと、頭の痛いサマンサであった。(『CLINICばんぶう』2021年11月号)

サマンサ●中学校の教師だったが、夫の開業をきっかけに診療所の事務長に就任。日本医業経営コンサルタントと医療経営士3級の資格を持ち、新潟県内の眼科専門診療所で院長夫人兼事務長として経営の舵取りをしている。

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